ゴースト×ゴースト小説、彼は囮か

こんにちは!明日からは秋休みでーす!
でも風邪を引きました…喉が痛いです!ですがまだ少し忙しい…
大丈夫なんですがね〜!割と毎年恒例なので←
では今回は!捕らえられたイングリーネは絶体絶命!
一方で部屋に残された三人が起こす行動とは…?
ではGO!!↓↓



「そういえばイングリーネって?」
デヴィーセが一冊の本を閉じた時、周りを見渡してそう言った。
カルルはそれを聞いて本から視線を上げると同じように色んなところを見回して探し始める。
「…居ないね、気付かなかった。」
彼女がその明るい部屋から一度出て、本棚だらけの部屋に戻ってもイングリーネの姿は無い。
デヴィーセは一度短く溜息をついてうんざりした様子を見せる。
が、楽しそうに本を眺めていた黒髪の少年は本から目を離すこともなく軽く放った。
「んー…お兄ちゃんならウォリスの所じゃない?」
その言葉がいい加減そうに聞こえたのか、デヴィーセは確かめるように問う。

「それホントなの?」
「ううん、なんとなく。」
それを言うときもファルシードは本を見てへらへらと笑っていた。カルルはデヴィーセが怒鳴るんじゃないかと少し心配したが、予想通りだったからか溜息で済んだ。
カルルが「じゃあ…」と続けようとした時、ファルシードの「でも」と言う声に重なる。

「僕ここに入るといつも怒られるのにおかしいよねー。ウォリスが扉を閉じるのを忘れるなんてことはないし…」

「お兄さんと遊んでるのかな?僕が居なくて寂しかったから!」

あはは、と笑う声がまた聞こえてきた。
デヴィーセとカルルはファルシードの言葉に少しだけ嫌な予感がよぎる。
目を合わせた二人が少しだけ苦い顔をしてファルシードに視線を戻すと、カルルは本を見続けている彼の前へ歩み出て一つ、質問した。

ファルシードはどうして、ここに入ると怒られるん?」
少しだけ答えに覚悟しながら問うと、ファルシードはその顔に少し笑顔を消して応えた。
「…知っちゃいけないことがあるからだよ。内緒の部屋だってウォリスに怒られるの。」
小さな手で人差し指を立てて言う顔を、少し離れて見ていたデヴィーセは持っていた本を乱雑に置かれた本の中に混ぜて置いた。

「…知っちゃいけないこと、ね…」
デヴィーセはその言葉にニヤリと笑う。
そう、それを知れと言ったのはウォリスなのだ。
可能性として考えられるのは真実が秘められていた部屋に入ってしまった自分達を捕らえて口封じすること。
だが、ウォリスならイングリーネは本を読んでいないことくらい分かっているはず。
もし、仮定が全て当たっていればイングリーネは囮ということになる。

「…まあそんな単純思考じゃないと思うけど…」
小声で呟いたため、その言葉はカルルにもファルシードにも届かなかったが。
デヴィーセもファルシードの方へ歩いていって笑い掛けた。

「ねえ、ファルシードも僕達に着いてきてよ。」
「え〜…お兄さん冷たいもんなー…」
「ゴメンねー、でも君のために性格変えるほど優しくもないの。」
デヴィーセは大して怒る様子もなく、ファルシードの頭に手を置いてそう言った。
そしてにっこりと綺麗な笑みを浮かべると彼は、
「イングリーネと一緒に遊ぼうかと思ってるんだけど。」
と、そう言った。
カルルはその言葉に少しだけ驚いた。意外に扱い方を分かっているのだな、と。
「えー!本当に!?行く行く!!」
あっさりと本を閉じて目を輝かせたファルシードを見て、デヴィーセが一瞬薄暗い笑みを浮かべたと思うとすぐに元の影の無い笑顔に戻った。
カルルは純粋に美しい見た目に反して恐ろしい奴だな、と思う。

「そうこなくっちゃね〜」
彼らは早速その手を繋いでただ楽しそうに歩き出す。

カルルはそれを見て、いつまで短気なデヴィーセが持つのだろうと考えてしまうのだった。