ゴースト×ゴースト小説、狭く小さな世界

こんにちは!割と久しぶりですね〜〜
最近は何かと忙しくてちょっとサボってたんですがね!
学校でやる劇の台本書くのが終わればあとはもう暇ですから…!後2日程度の我慢…頑張るぞー!
では今回はイングリーネ目線のお話。ファルシードの力を目の当たりにしたイングリーネ。
そして彼の言う永遠に違和感を覚え始め、考えた末に起こした行動とは…??
一体なんでしょう!ではGO〜〜!



デヴィーセはなにやら真面目な様子で書物を読み込んでいるし、カルルも理解しようと一生懸命にページを捲っているし。
イングリーネは付き合いきれないな、と思う。
なんだか、この世界で生きていくしかないのになーと単純に。
そもそも神が死ぬのかも怪しいこの世界で生きるための方法を探すなんて馬鹿馬鹿しい。
まあ、デヴィーセは真面目そうだし頭も良さそうなので後から聞けば何かと教えてくれそうだ。

その間に、イングリーネは一人資料館から出て行こうと歩き出した。
出来るだけ足音を立てずに、誰にも気付かれないように。
ここに溜まって世界のことをみんなで学ぶ暇があるなら、ウォリスのことを知りたい。
何故ここにファルシードを閉じ込めておく必要があるのか。
そして、何故自分達までも外に出られないようにしたのか。
それを直接本人に聞くためにイングリーネは廊下を出る。

「ウォリスの部屋へ行く。」
静かにその口から放たれた言葉は廊下に反響した。
そして、終わりの無いはずの廊下に扉が現れるのだ。全く、神の創る城とは不可解で難解だ。

「ウォリス」
その言葉と共に、イングリーネは扉を乱暴に蹴って開けた。
すると、飽きもせず窓の外を眺めていたウォリスは振り返って同じような笑顔で言う。
「何の用ですか?」
「お前の言う運命では、俺は今から何を言うんだ?」
部屋の中へ入っていくと、扉はやはり勝手に閉まる。
イングリーネはそれをちらりと見て、ウォリスに笑いかけた。
「…ファルシードの事を聞きに来たんでしょう?」
ウォリスは肘をついて面白そうに言う。イングリーネは「流石」と声を漏らしてウォリスの次の言葉を待った。
「私が何故、ファルシードを閉じ込めている城に貴方達を入れたのか…それを知りたいというの?」
そのどこか怪しい笑みを見つめながらイングリーネは「そうだ」と短く応える。
それを聞くとウォリスはまた窓の外を眺めるのだった。

「自分で調べなさいと言ったのに。」
「そんなことをする時間は勿体無い。本人に聞くのが一番早いからな。」
「それは間違いないですね。」
うふふ、と笑って彼女は少し黙る。表情は見えないが随分この状況を楽しんでいるようだ。
イングリーネは少しだけ不快だった。
「貴方達はファルシードの代わりよ。」
ウォリスは一切声を変えずにそう言う。突然の言葉にイングリーネは耳を疑った。
「…代わり?」
「そうですよ、あの子が居なくなったときに私の下に付く者が必要だわ。」
「なに…」
イングリーネは正直に驚いていた。
今まで傍にいて、あんなにも愛されているのにそう易々と代わりなどと言えるのか。
…どこまでも冷たい女だ。
そして、今の言葉の裏は…いつかファルシードは永遠を壊されるということ。
ファルシードをいつか捨てるというのか…。」
「近い内にね。私とあの子は常に反対側に居なければいけないのですよ。そういう運命に生まれてしまったの。」
悲しそうにも聞こえるその声。だがそれはイングリーネの望みなのかもしれない。
ファルシードは愛されていると信じているのだ。

捨てられていい人など絶対に居ない。例え、それが破壊を司る神でも。

「…見損なったよ。」
「少しでも私を信じていたというんですね。」
また彼女は笑った。表情が見えるわけでは無くとも、イングリーネには酷く冷たい笑みに見える。
それに一歩後ろに下がって、扉に手を掛けた。

そして、一瞬の違和感。

「…なに?」
冷たい汗が頬を伝った。さっき蹴って開けた扉だ、引けば開くはずなのに…。
「ウォリス!」
その扉は全く動かない。彼女の部屋の中が急に狭く感じた。
そして彼女はやっとこちらに振り返って笑顔を見せたのだ。
「本当のことを知ったんですもの。そう簡単に外へ出しては…貴方何をするか分からないものね。」
優しくも、冷たい笑顔だ。ファルシードはこの笑顔を愛と呼んだのだろうか。

「だから調べなさいと言ったのですよ、イングリーネ。」
その言葉には全身が凍りつくような力を感じた。