ゴースト×ゴースト小説、永遠に生きること

最近更新ペースいい感じですね!!こんにちは!
だけど、話はたらたら書くのが私です…、今回もめっちゃ長くなる予感…。
生き抜き大分挟むと思うから、まあ、なんとかして飽きさせないよう頑張りますね〜!
今回と前回、書いてて思ったけどファルって昔も今とは違う意味でダークだよな〜って。
でも、前世の影響とかも多少はあるのか…邪神としての宿命なのかな…って感じですね。
では!そんなファルの姿をどうぞご確認ください!←



「ちょっとファルシード!今のちゃんと説明してくれなきゃ…」
「いいの?今言ったでしょ、すぐウォリスに閉じられちゃうってね。」
デヴィーセが突っ掛かるのをファルシードは何食わぬ顔でかわす。
なんとかぐっと堪えたデヴィーセが顔を背けて名残惜しそうに歩き出す。カルルも調べ物の協力のために着いて行った。

楽しそうにニコニコしたままのファルシードに、イングリーネは近づき話しかけた。
「おい」
いつも通りの低い声でそう言うとファルシードはイングリーネの顔を見上げる。

「ん?お兄さんは良いの?探し物。」
「俺にはそんなもの無い。あいつの付き合いだ。」
デヴィーセに視線を送ってそう短く答えると、ファルシードもそうなんだ、と続けた。
「大変だね。お兄さん達はもっとゆっくりすればいいのに。忙しそうだから可哀想。」
笑顔を少し消して、まっすぐにイングリーネの瞳を見つめて言う。その紅い瞳には全く闇が無くて、ただ純粋で綺麗だった。
よく知った子供達の目と全く同じだ。
「そうでもない。」
思ったことをすぐ口にするファルシードだ、いつかはとんでもないことを言いそうなもので冷や冷やする。

そしてそんなことを考えていた矢先、こんな言葉が飛んできた。
「どうしてそんなに焦るの?神はずっと生きるんだよ?時間ならいっぱいあるのに。」
…そういわれると困ってしまうのだが。
デヴィーセも元は人間。それは俺もだし、人間だった頃の感覚はなかなか抜けないものだ。
だから、知りたいことはすぐに知りたくなるし、時間は大切にしたいとも思ってしまう。
「…お前は、色んなことを早くしたいとか、やりたいとか無いのか。」
ファルシードだって、この性格ならそういう気持ちはあるはずだ。好奇心だとか、そんな子供らしい気持ちが。

「…うーん?だって思っても意味ないでしょ。」
「意味ない…?」
「ウォリスはずっと一緒に居るし、この城も永遠なんだもん。」

あはは、と楽しそうにまた笑った。

城を永遠と言うこいつが、もしかしたら一番この城のことを知っているのかもしれない。
この部屋にある本なんかより、この部屋を開けたこいつが。

「なあ、お前はさっきどうしてここを開ける事が出来た?」
イングリーネは膝を床についてファルシードと目線を合わせた。
少し斜め上を見て考え込んだファルシードは少し経ってまた笑顔でイングリーネの目を見る。

「ウォリスの創ったものを壊すことが出来るのは僕だから?」
「壊す…」
「そうだよ。創造神と邪神は反対だから、ウォリスが創るものは僕が壊せる。だからね、一緒に居ればいろんなモノが創れるし壊すことが出来る!最強でしょ〜!」

また声を上げてあははと笑う。イングリーネはその幸せそうな姿を見ると不安がよぎってしまう。
一緒に居れば。その条件が未来で彼を苦しめるんじゃないか、と。
その考えは振り払ってもなかなか拭いきれない感情だ。

イングリーネが目を逸らして考え込んでいると、ファルシードはそれを気にする様子も無く部屋の奥へ歩き出す。
そして、一切影の無い、明るく元気な声で言うのだ。

「永遠に続く城で永遠に生きるんだもん、怖いものなんて無いよ!」

その声に視線を戻したイングリーネの目には明るい部屋の中の、ただ純粋で明るい少年が映る。
永遠の中に恐怖が無いなんて、永遠の中で生きることが怖くないなんて。
そうだ、お前にとっては当たり前のことだ。
何故ならこの城の中で一番怖いものは、

「お前だからな…ファルシード…。」

一冊の本に手を掛ける後ろ姿は、邪神の姿そのものだった。