ゴースト×ゴースト小説、初めて君と会う日

時が越えられたとして、一体何をするか…。
未来の自分を見て安堵を求める?でもそれって凄く危険な賭けだと思わないか。
自分が無惨に死ぬ姿を見たとき、一体何を思うだろう。
そこに安堵など存在しない。深い絶望と不安、焦り…心も体も蝕まれ、いつしかその未来はやってくる。
僕はそれを悪いことだと思わない。己を知ることはいいことだろう?哀れな自分をこの目で知り、過ちを繰り返さなくて済む。
「…人間の頃にそれが出来たなら、どれだけ優れた人間だったのか…。」
深く溜め息を吐く。
背の高い門の前に立つ。気付いたらここまで歩いてきていた。
僕の人生は大したこともせずに終わった。神として生きる…それがどれだけのことなのかはまだ実感できていない。
「うーん、いまいち…。」
何がって聞かれれば分からない。
ただ、ここに居る自分を見たのでその運命に従ってみようと思ったのだ。
「本当に僕が選んだ未来なのか…。」
まだ人間だった頃の常識が抜けない。人は時を越える存在ではないこと。
「まあいっか、なんとかやっていけるよね。」
その未来を見たんだから。
うんうんと一人で頷いていると背後から足音が聞こえた。
複数の足音、一人ではないようだった。
話し声も聞こえるし、賑やかな者達のようだ。ゆっくり振り返れば目が合う。
三人の視線が交差した。


二人目に出会った神は金髪で睫毛の長い碧眼を持つ少年だった。
隣でカルルはその容姿に声が出ていなかった。確かに、文句無しに美しいと呼べる少年だ。
「やあ、はじめまして。」
先に声を発したのはその少年。笑顔で挨拶をする。
イングリーネは不機嫌そうな顔のまま応える。
「ああ。お前はなんの神だ?」
その対応になにか表情を変えるわけでもなく彼は言う。
「僕は時空神。君達は?」
二人を交互に眺めてそう尋ねた。
「ウチは炎神!」
「雷神。」
そう言って楽しそうにするカルルと無愛想に応えるイングリーネ。
対応の違いに時空神は面白そうに笑った。
「面白いねえ。僕のことはデヴィーセって呼んでよ。」
笑い混じりの言葉で愛想よく笑う。カルルはその対応に満足のようでニコニコとする。
「じゃあウチはカルルでよろしくな〜!こっちはイーくんで!」
彼女の言葉を不思議そうに繰り返すデヴィーセを前にイングリーネはカルルを強く叩いた。
「イ・ン・グ・リーネ!!」
怒鳴り散らして反論して、堂々喧嘩し出す二人を前にデヴィーセは「ああ、なるほど」と一人納得していた。
「うん。いい人そうだねぇ、君達。じゃあこれからよろしくね。」
その喧嘩の気迫に負けずにのんびりと話しかけるデヴィーセ。
その言葉に一気に対応を変えて「よろしく!」と笑うカルル。
その態度に戸惑って小さくカルルの言葉を繰り返すイングリーネ。

こうして三人は、永い神話の中で出会う。