ゴースト×ゴースト小説、目覚めのクロック

ジリジリジリジリ…

うーん、懐かしい音がします。
朝、眠たい中夢に溶けるように聞こえてくる音です。

「朝だ朝だー!!みんな元気にコケコッコー!!」
そんな声が、ジリジリうるさい音と、ピーピー笛の音と共に聞こえてきます。
うーん、もう少し寝ていたい…
けど、
「おいそこー!もう朝だ起きろよーー!!」
一段と大きな音で、叫ばれました。
驚いて目を開ければ茶髪の少年が目の前に!
右手から時計がぶら下がってます。
「もう朝7時!起きなきゃ寝坊だぞ〜」
歯を見せて、彼は笑います。そうするとミリアも隣で目をこすりました。
欠伸をしてまだ眠たそうですね。

「時間はいつでも止まらない!生活習慣の大きな乱れは禁止!」

「俺はドリーム・クロック、歩く時報でーす」

クロックも他のドリーム達と同じように明るく笑います。
でもまだまだ目が覚めません…、もう少し、もう少し寝ていたいです…。
「おいおい、しっかりしろよ〜。ナイトから聞いたよ、レインに会いに行かなきゃ、だろ?」
時計を揺らして私達に言います。
そうです!レインを探さなきゃ…。
「ああ!ありがとうお兄ちゃん!リウ!急ごう!!」
ミリアは一気に目が覚めたと言う様子で急に立ち上がりました。
私も釣られて立ち上がりますが…
「おい待て!」
クロックがミリアの三つ編みを引っ張っていいました。
「痛い!」
ミリアが怒ります。クロックは慌てて離しました。
「悪い!目が悪くてな、実は時計もハッキリは読めないんだ。」
ミリアの長い髪と腕がよく分からなくなってしまったみたい。あらら。
「仕方ないわね!で、なに?」
ミリアはちょっぴり怒っているみたいですが仕方ないので怒鳴らないみたいです。
ああ、っとクロックが思い出したように言いました。
すると背負っていたリュックをごそごそとさばくりだしました。んん?何が出てくるんでしょう?
「よし!ジャーン!」
朝日に翳したのは、ああ!パンです、おいしそう。久々に食べ物を見ました。
「朝飯はしっかりな!一日三食は基本だぞ」
私とミリアに一つずつ、パンをくれました。
さすが夢の世界、リュックから出てきたのに焼きたてのように温かくてふわふわです!
「ありがとう!お兄ちゃん!」
ミリアもこれにはご満悦です。
「おう!元気でな!時間はいつでも止まらない!生活習慣の大きな乱れは禁止、だぜ!」
大きく頷いて手を振りました、そしたら時計がキラリ。
でも彼は居なくなりません。もっと向こう側へ、朝を届けに行ったみたいですね、大変。

「なんか元気でたね!」
「そうだね」
私達はパンを齧りながら、虹へ向かいます!