ゴースト×ゴースト小説、眠りのナイト

「夜はみんなが眠る時間です、起きて夜を過ごすと太陽が出てきたときに辛い思いをしますよ?」
ナイトは私達にそう気をかけました。確かにそうです、徹夜した日の朝は気分が悪いのです。
でもミリアだって引きません。
「でもレインを探さないと…。」
今一番心配なのはレインなんです。私もそれは同じです。
でもナイトはにっこり笑います。
「そんなに焦って探して、体に疲れが残っていては危ない目に遭うだけですよ。あなたたちが怪我をしたらどうするんです?」
ミリアは言葉が詰まってしまいます。言い返す言葉はないです。
「それに大地だって眠っています。転んだって花も虫さんも助けてくれませんよ?」
ナイトの優しい言い方に納得せざるを得ません。
なんて説得力のある言葉なんでしょう。
ミリアも悩んだ末、折れたみたいですね。
「うーん…分かったよ。レインを心配させたらダメだもんね。」
ミリアは少し納得いかないような顔でしたが私のほうを向いて笑いました。
なかなか大人な判断ですね。

ナイトに促されて木の下に腰掛けるとものすごい睡魔が襲ってきました。よっぽど疲れていたみたいです。
うとうとしているとミリアの声がしました。
「ねえリウ、…レインに会ったら何が言いたい?」
月を見上げてミリアは微笑んでいました。月明かりに照らされた横顔はとっても綺麗です。
悩みます。何が言いたい、と言われるとどうしましょう。何にも考えていませんでした。
「考えてなかった…、どうしよう。ミリアはなにかあるの?」
そうやって聞き返してみましたが…あら、ミリアは眠っちゃったみたいですね。
静かな寝息が聞こえてきます。
私もそろそろ限界です。眠気に逆らわず、目を閉じます。


「おやすみなさい、リウさん、ミリアさん。」
ナイトは紅い目を細めて、やさしくにっこり。

「夜はみんなが眠る時間、月も大地も静かになります…、邪魔しちゃダメですよ。」
そう言うと、星がキラリ。

あなたは一番星に帰る。