ゴースと×ゴースト小説、虹のない夜

「夜になると虹は出ないから困っちゃうね。」
ミリアは溜息混じりにそう言いました。
思えば虹は常日頃出ているものじゃありませんよね?この世界は不思議です。
「この世界の虹はレインがつくってるモノだって聞いたことあるよ。」
不意にミリアがそういうので驚きました。
レインが虹をつくった?どうやってやるんでしょうね?
「レインの持ってるペンダントが光ると不思議なことがたくさん起きるんだって。レインはこの世界の七色を創り上げて、希望も夢もレインが守ってるって、それが仕事なんだって…教えてもらったことがあるの。」
ミリアもはじめはレインにいろんなことを教えてもらっていたのでしょうか。
ミリアがどれくらい前からここにいるかは知りません。いえ、この世界に時間というモノが存在するのかも…。
まだ知らないことはたくさんあります。サンに聞いておけばよかったですね。
「じゃあレインはお仕事してるのかもしれないね。」
そんな気がしてきました。
ずっと一緒にいるって言ったのにそれを投げ出すくらいですから…きっと大事なことなんでしょう。
「ならいいけど…今までこんなに長い時間レインと会わないことが無かったの。だからちょっと…心配。」
ミリアの寂しそうな表情は見ているだけで辛くなります。無理しちゃいけないけど、笑うことはいけないことじゃないよね?
「…スマイルが言ってたよ、いつでも笑えば良いことあるって。だから…笑おう?」
きっとレインには会えます。だからそれまでに笑えるようになっておかなくちゃ。
泣いて再開なんて、またレインに心配させてしまいます。
だからミリアは大きく頷いて笑いました。やっぱりミリアの笑顔は最高に可愛いです。
「そうだね!じゃあもう一頑張り!」
そうです。レインを見つけるまでは現実に帰るわけにもいきません。
もう夜は深まっていますけど、まだまだ歩けます。
ですけど…

「ダメですよ!ちゃんと眠らなきゃ!」
私達の前に人影が見えます。
夜なので暗くてよく見えませんけど…。
髪がとっても長くて、月の光に紅く輝いているようです。

「夜はみんなが眠る時間、月も大地も静かになります!」

「私はドリーム・ナイト、あなたに眠りを届けます!」

その紅い瞳に、月が映る。