ゴースト×ゴースト小説、夢に生きる

手を叩きながら虹に向かって一直線。
その間は疲れることもなければ哀しいこともなかった。
「レインはどこまで歩いて行っちゃったんだろう、虹の向こうってまだまだ先よね!」
クイーンはそろそろ足が痛いみたい。私も気付けばちょっとだけ足が…。
「ちょっとだけ休憩する?」
私はクイーンにそういってみた。
だけどクイーンは首を横に振る。
「ううん、いいの。私、歩くの大好きなの!」
そう言うと幸せそうに笑う。
そういえば、メロディーといた時、私はもう歩けない…って。
どういうことだったんだろう?
現実のことだし、聞くのはよくないかな?辛そうだったし……。
でも悩んでいたらクイーンが先に口を開いた。
「現実の私はね、病気でね。もう治らないかもって言ってたんだ。歩けなくなってきて、手も動かせなくなってきた日の夜から、私はここに来たの。」
ああ、気付けばこの夢の世界も日が沈み始めているみたい。
もう一日が終わってしまうんですね。
「そしたらここでは手も足も自由に動かせた!!だから楽しくて…もう帰りたくなくなっちゃったの。」
顔色を幸せで一色にして、クイーンは笑う。
ああ、私と同じだ。帰りたくないのは。

「…私もね、お母さんが殺されて、逃げ回ってて、辛くなって目を閉じて…気付いたらここ居た。」
今なら言える、なんだってクイーンになら。
「いやな現実から、ここに居れば逃げられるってそう思った。でも分かんないけどここに居ちゃいけない気もしてる。」
それを言えば、クイーンは目を丸くした。
そして詰め寄るように言う。
「私も!!私も…ここにいちゃいけない気がする。」
クイーンは悲しそうな顔をする。
「ここに居たいのに、でも私は…帰らなきゃ。帰らなきゃ私たちには…!」
涙が溢れてくる。
そう、分かっていた。薄々気付いてはいたんです。
帰らなければ、私たちに未来は無いの。絶対に前には進めないんです。
ドリーム達が言っていたように帰らなければいけないんです。自分の足で…

さっきまであんなに楽しかったのに、私達は二人で声をあげて泣いた。
すると、今度は明るい男の人の声です。

「おやおや、泣いている子が居るなあ。どうしちゃったのかな?」
彼の後ろには、キラキラ月が輝いています。
逆光ではじめはよく姿が見えなかったけど、優しい青色の髪を持った少年のよう。

「絶対無理はしちゃダメ。嫌なことは嫌って言うこと!」

「俺はドリーム・サン!みんなの太陽になる男さ!」

その笑顔は闇夜の中、太陽のように輝く。