ゴースト×ゴースト小説、君と永遠に。

「…セリエル…、大丈夫か」
まだ痛みの残る体を引きずって彼女の元へと近付き、その体を弱く揺すった。
「ん…、フロウ様…無事ですか…?」
開かれた目は今までよりもずっと濃く深紅に染まっていた。
(…そうだ、セリエルは死神に……)
曖昧な記憶を辿ってようやく気付いた。
ああ、ゴメン…。

涙がぽろぽろ、溢れてまた、止まらなくなってしまった。
「フロウ様?どうして泣くんですか!」
彼女は半笑いに焦り出した。
だけどそれがまた悲しくて、哀しくて……。
目を腕で隠してやたらと泣いて、情けない声で言葉を絞り出した。

「俺結局お前に迷惑かけた…っ、もう全然、守れなくて、ゴメン…っ!」

彼女がどんな顔をしているか見えないくて、言葉は暫く返ってこない。
罪悪感が渦巻く心が、彼女を見るなとそう言っていた。

でも、彼女は…
「何いってるの!泣かないで!私が勝手に着いて来たんだよ?フロウは悪くない。私死神になれて良かったの。貴方が私にくれた種族だもん、良かった。嬉しかった。だから顔を上げてよ。ね、フロウ!」

優しさが胸に刺さる。
ずっと敬語で、少しだけ差があったようだった彼女が、「フロウ」と呼んだ。
ああ、これが「安心」だ。

「セリエル」

そう呼んで、彼女を抱き締めた。
今日は俺からだよ。俺、なんだかんだでお前が好き。

「フロウ様!?」
少し驚くような声がして。
俺はまだ声が震えるけど言葉を見つける。

「俺、絶対お前を守るよ。力を制御できるようにして、お前が助けを求めたら、絶対助けに行く。今まで支えてくれたから、恩返しさ。」
まだ戸惑っているみたいで言葉が聞こえないけど、高鳴る鼓動は聞こえた。

「…はい!いつまでも待っています!あなたが私を守ってくれるときを。」
そういって、彼女は笑った。ただただ幸せそうに笑った。
俺はまだ涙が止まらなくて、心の底からは笑えないけど…。

…ああ、君が居てくれて本当に良かった。