ゴースト×ゴースト小説、アソビゴコロ

「ねえ、まだあの人間は来ないの?」
小さな体で、鎖を揺らした。
特に忙しそうなフリをする訳でもなく、何もせずにそこに座っている時空神にいい加減腹が立ってきた。
「もうちょっとで代理人が来るからちょっと待ちなよ。」
焦らない焦らない、と彼は笑った。
此処にいることが暇なのを彼は知っているはずだ。
そして僕が暇を嫌うことを。

代理人?本物じゃないの?」
結局使えないのかと思いながらも、口には出さない。
なんせ自分は動けない。
この時空神がいなくなったら、本格的にやる事がなくなってしまう。
それだけは避けなければならない。
「彼より強い死神さ。好きみたいだよ?人間のことが。」
やっと立ち上がった少年が光に繋がる道を見た。
「……代理人ってそういうこと……」
人間に力を分け与える為の通信役が彼女というわけか。

「ご機嫌いかが?邪神様。」
明らかに不機嫌だ。
どうやら早く人間に力を与えて好感度でも上げたいのだろう。
馬鹿馬鹿しい。
「悪くないさ。というより、そんな険悪な顔をしないで。」
こっちが気分悪い。
恋の応援をしてあげるというのに。
「だったら早くフロウにあげる力を頂戴。私は彼を幸せにしたい。その為なら手段は選ばないわ。」
もう、数少ない会話の楽しみなんだから、もう少し僕に興味を示してくれたっていいのに。

「この力を持って彼が幸せになるとは限らない。だって僕は彼の体がどの位の力に耐えられるかを知らないからね。きっと彼の体を壊すほどの力を与えてしまうだろう。」
何事も、少し多いくらいが丁度いいのさ。
それに、人間が自分の力にもがき苦しむなんて、最高にいい光景じゃないか。
たまらない。
「…力加減はできないの?」
出来るけどー…する気ないんだよね。
人間が苦しむ姿が見たい。
「とりあえず君が彼に力を与えてきてくれれば、その後調節するよ。」
真っ平嘘。
そのあと連れて来てもらって、絶望を笑おうじゃないか。
「…分かったわ。」
僕の笑顔に少し不安を見せていたが、仕方ないという様子で僕のその力を受け取った。
早く人間の苦しむ顔が見たくて、
「よろしくね」
って、死神に笑った。