ゴースト×ゴースト小説、俺の血縁者

−まだ分からんのかアルネス!!
大声で頭に響くその声。
何だかいきなりとんでもないものに取り付かれてしまったようで。

「いえいえ、とんでもないよ。ちゃんと分かってるって。」
もう何だか面倒な事になってしまったので、適当な答えを返す。

「つまり、あなたと俺は血が繋がっちゃってる訳だろ?」
そう分かってる風に説明をして、うんうんとするその声を聴く。
その通りだ、とそいつが言った。

「えーっと、俺の母親のライカとあなたが元の運命では兄妹で、そのライカから生まれたから…ってことな?」
おう、と何処か嬉しそうにいってくる。
自分自身納得しながらふーんと思う。

正直神様は大嫌いだったから、俺がそんなものと血筋があったこと自体気に食わないのだ。
……口には出さないが。

−俺は雷神イングリーネ。ライカを守って死ぬ予定だったんだぜ?お前が生まれたのもこの俺のお陰なんだからな。
なんて胸を張っていうものだが、実際もう運命が書き換わっているため、ライカが死ぬ事も無かったし、何より真実味がない。
いくら神様がいうからって、根拠もなにもないから作り話かもしれないというのに。
そのイングリーネとかいう奴は偉そうにいってきた。

−お前は友達を守らなきゃいけねぇ。今フロウとかいう奴が邪神に飲み込まれようとしてる。俺達みたいに血筋もねぇのに力を受け渡すのは超危険なんだ。助ける気はねぇか。
そう、これだ。この話だ。
さっきから何度も繰り返している話。
確かにフロウとは友達だ。しかし彼自身が求めた力を俺が止めて良いのだろうか…。
正直、超迷う。
いやー……俺根性ないし?戦う力も全くないのに邪神を止めろだなんて……。

迷う俺を見ているのか、イングリーネは唸って怒鳴る。
−お前俺の血を引いててなんでそんなに根性がゴミなんだよ!!友達なら助けろ!俺の力を貸す!使い切りだが貸す!!だから助けろ!!
頭が痛くなるほどの大きな声を、その頭の中でいわれたのだからたまったもんじゃない。
もうフロウの命がどうとかじゃなくて、イングリーネのプライドだろう。

「…わかったよぉ、雷神様。」

此処がどこだかわからないけど、俺は真っ直ぐ歩いた。