ゴースト×ゴースト小説、狂い咲く。

今日はイフレが裏切り者になった理由です!
裏切り者バージョンのイフレは左目を隠すように包帯を巻いていますが何故でしょー!
答えは↓ですよ〜


ああ、やっぱり彼女は凄い。
犠牲者に選ばれても、怖いなんて言わなかった。
俺は前にそうなった時すごく怖くて、助けを求めて、苦しくて、寂しくて…彼女に、助けられた。
素直に嬉しくて安心して涙が出たよ。
でもそれだけじゃ、ダメだった。まだまだ、全然足りない。
俺が守らなきゃいけないのに、俺は神の力に怯えていて、すぐに人を殺して、病気に屈して、死ぬのが嫌で…そんな俺をいつも彼女は励まして支えて守ってくれる。
あの時、カッコいいこと言えなかった。もう神は嫌だった、散々だった、うんざりだった。
だから「君の代わりに犠牲になる」だなんて、カッコよくなれなかったよ。
あーあ、なんて情けないんだろう。
女の子一人、守れやしないなんてさ…。
今からでも間に合うかなー、今から何かできるかなー。
「恐怖」なんて感情スッ飛ばしたら…彼女を守れたりするのかな?

「ねえセラ、俺にもし病気がなくて恐怖がなかったら、無敵になれる?」
『どうしてそんなこと…』
「今までそんなこと思わなかったよ。でも今はダメ、大切な人が危ないから」
『…お前、それで無敵になれるなら、それ以外にお前に欠点がないってことだけど』
「うん、でもとりあえずその二つが一番大きいんだ。俺の中でさ、ずっとずっと不安になってた原因」
『そうか、でもお前にある病気と恐怖を俺の中に封印することは多分、できる。俺たちはもう同一人物だしな』
「俺、彼女を助けたい。傍にいたい、もう二度と今の俺には元に戻れなくなるかもしれなくても。」
『俺はお前に協力するだけ。散々迷惑掛けたしな。』

目を開けたら、いつもと同じ。
どこまでも青い空、頬を撫でる風、変わらない自分。
「そんな自分になっちゃったら俺、いろんな人に怒られそうだ…」
結局何にも変わんない。そう…なるはずだった、運命。

「今の話、いい話ね。」
少しだけ、耳を疑った。
何故ならイフレとセラセードの会話は他人には聞こえない。
二人だけの、イフレの体の中だけの世界だから。
「誰だ?」
すぐに体を起こして、その姿を見れば呼吸が止まるかと思った。

一言で表せば、美しい。けれど、どこかイレギュラーな存在に見えていた。
彼女は、破壊神。フォルリィアの名を持つ世界を破壊へ導くモノ。
「ど、どうして…」
それに、恐怖していた。どうしても、怖い。
「どうしてでしょうね。でも私には貴方の願いを叶えてあげることも、出来るわよ。」
紅く、紅い、彼女の瞳から逃げられなかった。
この、この感情さえなければ…今すぐ逃げることだって
病気さえなければ…体のことを心配せずに走ることだって……俺には出来たはずなのに。
「貴方の左目に…いえ、セラセードに恐怖も病も封印することは出来るわ。」
彼女の言葉に堕ちてしまいそうになる。でも、冷静にならなければいけない。
もしここで彼女に任せて俺が「恐怖」も「病」もなくすとして、破壊神のおもいのままに操り人形になる。
そしたらあの子の傍にいられて守ることができる…?
俺が感情を一つなくして理性を保てるかどうかが、問題だけど…。
ここで寝返った振りさえ出来れば……

(セラ…俺が役目を果たせるまでちょっと我慢してくれ…)

「ホントに出来るなら…やってほしい…な。」
ああ、この覚悟決めるの、ちょっと怖いや…。
でも最後の恐怖だから。これであの子を守る。俺はもう、狂ったりしない。
「あら、意地でも断ると思ったのに。案外素直なのね。」
破壊神がゆっくりと手を翳した。
自分が自分じゃなくなるような、ちょっと解けるような感覚と、左目が焼けるような熱さと共に紅く輝く。

少しだけ、ぼーっとするな。人間として何か大事なことを忘れてしまったような気がする。
ああ、俺は元から完璧に人間じゃないんだっけ…。

これから俺は理性を失わぬように、理性を失った自分を演じる。
「ふふっ、ありがとう神様…、この恩を返す為に神様についてくよ!あははは!!」
人殺しに狂っていた、あの頃のように。
もしかしたらもう、俺の考えは見破られてるかもしれないけど。
だって、神様に隠し事って、すごく難しいことだと思わない?

さあ、俺は今から包帯ぐるぐる巻きの、壊れて狂った操り人形…
人類の、敵となるモノ。


では灰音ちゃん!これでよろしいでしょうか?
コメントお願いしまーす!