ゴースト×ゴースト小説、旅の道

そして、俺の目指す場所はアルゲイドという町に決まった。
できるだけ弟の下を離れたい。

だが、それ以上の問題と言えば…
「見てくださいよー!!もう大都市ですよ!大都市!!」
ルイスワードについた途端騒ぎ出したセリエル・ローズは大暴走だ。
完全に観光客ではないか。
「分かったから…もういい?」
抵抗するのも面倒だったため、腕を引かれてもなんとなくで歩いていた。
活気に満ちた少女とは真逆で、何をするにも無気力な俺はこんな所でも振り回されていた。

「もーう、照れないでくださいよ〜!私ずっと来たかったんですから!!」
彼女の目的としては世界中の色々な所を見て回るということらしい。
「だったらもう一人で行けよ…」
特に意味もなくそう発したが、彼女はピタリと足を止めて此方を向く。
その顔は嬉しさに歪んでいた。顔を赤らめて笑っている。

「だって、フロウさんと会える事、ずっと待ってたんですよ?」

「はあ?」

思わず間抜けな声が出る。
そして彼女は愛おしそうに手を取る。

「フロウさんと会って、フロウさんと沢山の所に行きたかったんですもの!」

勢い良く、抱きしめられる。
何かの策略か何なのか、力の無い俺は思いっきり後ろに倒れる。
人々の行き交う路上でこんな事をしていたら何かの恋愛話じゃないか。
嬉しそうな声と表情は体に直接伝わる。
「早く立てよっ」
急に照れ臭くなった俺は顔を横に逸らして少女を押した。
「ふふっ♪スミマセンでしたっ」
彼女は軽快なステップで立ち上がる。

だけど、なんか何処かであったような口ぶりで。
俺が忘れてるのかな?

へんな女だな、改めてそう思った。

「い、行くぞ!」
視線を感じて妙に顔を赤くしてしまった俺は立ち上がって歩き出した。
「はーい!」
早歩きの俺に小走りで追ってくる女。

旅はまだまだ長そうだ。