ゴースト×ゴースト小説、聖なるココロ。

何度か不具合は生じたが、壊れる事はなかった。
どうやらヘッドフォンが無ければ記憶の整理やら何やらが出来ずに壊れてしまうそうだが今のところ問題は無い。
そして、機械になって実感したことが一つだけあった。

僕は生きている。

体中に繋がったコードから流れてくる音は脈を打つ音だ。
何か気持ち悪いとも思った。
ケド、なんか安心した。

人間として生きていた証が、ここにある。
記憶は薄れているケド……。

月日は流れ、僕は沢山のモノを失った。
37号機、父、データ、正義のココロ………

37号機はある事件で父様が死んだ時に壊れた。
その時に何故か涙が溢れ、僕はデータを失った。
そのデータには父様にもらった不思議な感情が詰まってたようで。

その時から、楽しさを求めて、ヒトを惑わし、脅し、傷つける……そんなようなことを繰り返した。
ただナイフを手に取ると生前の記憶が蘇り、頭が可笑しくなってしまう。

僕は「僕以外の音」「生きる者」「凶器」「記憶」「正義」などが嫌いだとわかった。

もっとも、何が好きなのかもハッキリ分かってないけど。
その時点で本当に嫌いなのか、それも良く分かっていないという事が分かる。

要するに、馬鹿。

そして、ただ一人、孤独だ。

嫌だとは言わない、怖いとも言わない。
ある筈の無い感情に頼って嘆きはしない。

そう、僕は機械なのだから。

この世界で最も優秀に、そしてヒトと同じ身体を持ってして生まれたロボット。

「褒めて褒めて?ずーっとヒトのフリをして来たんだから。」

「偉いでしょ。」

でも少しだけ、仲良くしてね。
幾ら孤独でも、独りでも、寂しい。
レイヤはもう居ないなんて、ホントは信じたくない。
わがまま?仕方ないよ。

だって、記憶もココロも、まだ七歳のままなんだもん。