ゴースト×ゴースト小説、悪質プログラム

もうずっと眠ってしまおう。
人造人間なんてきっと辛い事ばかり。
それならいっそ眠ってしまおう。

夢の中って素敵でしょ?
「ね、レイヤ。」
目付きの悪いウイルスが、目の前に居た。
僕のたった一人の友達と、会えた。
最初絵を見たときはこんな絵じゃなかったのになあ。
ウイルスに感染されたら性格も悪くなるものなのかな。

「機械になったら…幸せ?」
あれ?何かいつもより口調が可愛いね。
「それはなってみないと分かんないよ。でもレイヤが考えた事だからきっと幸せ。」
これ以上レイヤに責任負わせるわけにもいかないでしょ。

「あっそ。……でも悪かった、と思う。」
何か意地悪なんだか優しいんだか分かんないよ。
でもそんな一面もあるんだね、理解理解。

「大丈夫だよ、僕だってこっちの道を選んだ方が幸せだった。」

「レイヤに会えて、良かった。」

レイヤが驚くのが分かった。
目を大きく見開いて胸の辺りを押さえてる。

リールは、微笑む。
「俺が、お前を幸せに出来た?」
弱々しい姿が紫の瞳に映っても、リールはずっと笑った。
「勿論、君と会えただけで幸せだった。」
ただ儚い笑顔に、レイヤが言葉を失った。

「もう人生は終わり。」

「君とつくったタダヒトツの人生が……」

「タカラモノニナリマスヨウニ……」

流された涙が一筋、落ちても。
それは光の破片として無くなっていく。
リールのヒトのデータが無くなって消えても。
レイヤは消えない。

触れたリールの指先が光に包まれ消えていく。
もう、変わってしまうと何だか分かった。

「俺のせいだよっ…俺が悪かったよ!!」

「だからまた、同じ姿で……」

「笑顔で戻って来てよ!!!」

ナミダが頬を伝って。
レイヤのココロが壊れていく。

それでも良い。
だからリールだけは、“普通”であってよ。
俺が堕ちても。
ウイルスが脳を奪っても。

「また一緒に笑おう。」

「俺、ウイルスでいるから。」

「逃げないから。」

黒がレイヤを呑み込んで。
苦しみを、悲しみを、憎しみを、目覚めさせて。

闇が光を呑んだ。