ゴースト×ゴースト小説、愛情オレンジ

走って走って、ただ走って、ついに見えたのは出口。

「レイヤ!あそこだよね!?」
息を切らしながらも走りつづける。
ただ気がかりになったのはあの青年だった。
僕が居た時はまだ逃げていなかった。
なんだかまだ此処に居る気がして。

「お兄さーん……」
結局走るのを止めて牢屋の方向へ歩くことになって。
僕が捕まっていた場所の向かい側、いつものように、お兄さんは座ってた。

「逃げなきゃ、お兄さん。」
僕は目の前に立って、そう言った。
レイヤも今は黙っててくれて。
「いや、罰を受けるまで逃げる訳にはいかない。」
レイヤはその言葉の意味が分かっていた。
幼いリールの思考では何も分からず、逃げる考えに変える為に必死になっていた。

「だって此処に居たら何されるかわからない!」
一緒に逃げたい。そんな願いが胸いっぱいで。
「ダメだ。逃げたら家族が危ない。」
彼の目は真剣だった。
でも僕は一緒に居たい、逃げない。
絶対、逃げない。

自然に足が動いて、青年エレスの下へ。
「僕逃げないっ、一緒に居るっ……」

その姿は親子のように。
「…後戻りは出来ない、いいのか?」

「うん。」
その一言を合図にしたように、檻に閉じ込められた。

二人は全く動じなかった。
ただ、一人気に入らない様子で居たが。