ゴースト×ゴースト小説、赤色サイレン

空間一面が赤に染まりサイレンの音が鳴り響く。
「わあっ……」
驚きのあまり声は上げたがそれは歓喜に変わる。
直に檻は上へ上がって僕達は出る事ができた。
子供たちは全員笑ってハイタッチなどを繰り返す。

「さあ早く逃げるんだ!!」
青年が大きな声を上げると子供たちは外へと逃げ出していく。
「僕はレイヤのところに行ってあげなきゃっ」
リールは走り出し、ディスプレイの下へと向かう。
大きな画面を眺めればERRORと大きく書かれていた。
その下から黒い姿が覗く。
「レイヤっ!」
サイレンの音でかき消されてしまいそうな声だがそれでも必死に叫ぶ。

「おい!ヘッドフォンをさっさと探して来い!!じゃないと俺とはおさらばだぜ!!」
何かを次々と口に運んで訴えかける。
リールはその言葉にマイクロカメラを拾い上げてこう言う。
「まずはこっちに入って!探すから!!」
早くと言うように画面へと近付ける。
レイヤは呆れるようにプログラムの破片を投げ捨て、そのカメラの中へと入った。

それを確認するとリールは走り出す。
ディスプレイの奥の奥へと長い通路を走って行く。
運動も碌にした事のない子供な為に息切れも早かったが必死に走る。

白衣を着た研究者の列に躊躇もせず突っ込んでいくリール。
レイヤは止めようとしたが音声が発せられずどうしようもなかった。
「ヘッドフォン返せよ!!僕の宝物!!レイヤと繋がれる大事なモノ!!!」
レイヤは驚きと共に何かをズキリと胸に感じた。
よほど怪しいと思ったのか、研究者達はヘッドフォンを見つめていた。

研究者達はそんな言葉は聞かず、リールに近付く。
一歩後ずさり、リールは泣きそうになるがこらえる。

「えーい!!」
いきなり何をしたかと思えば、その手に持っていたカメラを研究者に投げつけたのだ。
研究者は小さく笑うが、本当に勝ち誇った笑みを浮かべたのはリールだった。

即座にレイヤがヘッドフォンに移り、「わー!!」と大きな声を上げ、ヘッドフォンはスパーク。
研究者が驚いたその隙にリールがヘッドフォンを拾い上げ、走る。

「やったね!ナイス!」

「お前こそ!」

喜びに胸を踊らせ、ヘッドフォン装着。
そして長い通路を走り去った。