ゴースト×ゴースト小説、春色希望

青の青年が器用に檻の中から外へ投げるとちいさな少女の前で止まる。
「え……」
控え目の大人しい子なのか手を伸ばそうともしなかったがリールが笑顔で
「あっち投げてね〜僕の私物だから〜」
なんて笑うと、笑顔になり少しの距離だが投げる。
次は活発な少年の前、彼は嬉しそうに投げて、次、次、と段々大きなディスプレイの元へと近付く。

「あと少し!」
大人達も馬鹿なようで見回りも居ない。
来る様子も無く、順調だ。
最後の女の子が思いっきり投げる。
「行ったか?」
青年も少し笑う。

コードやらなんやらゴチャゴチャとした元へ届く。
子供達から歓声があがる。

「レイヤ頑張ってー!!」
リールが満面の笑みでそう叫ぶと、他の子供達は首を傾げて周りを見渡す。
そしてある少年は、
「レイヤー!!」
と叫ぶ、それに続いて少女も、
「頑張ってー!!」
と口々に言う。
声援の声がどんどん増し、リールは嬉しくなった。

一方のレイヤはどうかと言うと、
「ああー…目まわった……」
そんなことを言いながら素直に声援を聞き、照れくさそうな仕草をしていた。

牢屋の中で罪も無いのに閉じ込められる…
俺には何が嫌なのか分からない。
「まあ……やってみるか……」

そんな意思で、レイヤは行動を開始した。