ゴースト×ゴースト小説、灰色地獄

灰色の世界で目を覚ました。
薄暗い空間は檻の中。
大変なことになったんじゃないか。
一体どうしろって言うんだ…………。

「レイヤ……」
上手く頭は回らないがその言葉を吐いた。
しかし、返事は無い。

「レイヤってば………」
そう呟いてヘッドフォンに触れた……
いや、触れようとした時。

あれ?可笑しいよ…?
…………ヘッドフォン……無い?

その手が触れたのは明らかに僕の耳。
ヘッドフォンの感覚も無い。

「えええええ!?」
思わず大声を出した。
檻にしがみついていた僕以外の子供達は一斉にこちらを向いた。
でも落ち着けない。
レイヤが居ないなんて……!

まあでも仕方なかったのかもしれない。
明らかに目立つし音楽も聞いていない。
怪しく思われるのも当然だろう。

僕どうやってここから逃げるの?

レイヤのような天才的頭脳は無い。
とにかくここから抜け出すなんて絶対に無理。
「もう、どうしようっ………」
涙が寝起きの頭を刺激する。
意地悪だったけど優しくて、僕をサポートしてくれた。
ああ、短い間だったなあ。
ありがとうレイヤ、忘れないよレイヤっ

「おい殺すな、バーカ!」
小さな音で聞こえた音声は、
「レイヤっ!」
小さなディスプレイの中。
でもそれは檻越しで、いや檻の檻越しだ。

「へ?」
裏が透けるくらいの透明度のディスプレイ。
空間に浮いていて、莫大な量のプログラムではないだろうか。
科学の進歩は馬鹿に出来ない。

僕はそのディスプレイ越しに一人のヒトを見つけた。
黒いコートに鮮やかな青髪。
大人なようで20代くらいだろうか。

それは鋭い、青い瞳だった。