ゴースト×ゴースト小説、虹色ナイトメア

ざわめく人々の声がヘッドフォン越しに聞こえ、緊張感が漂う。
「レイヤ……緊張するよ」
壁に隠れひそひそと語りかける。
「俺の知ったことじゃねぇ。さっさと行きたい場所へ行け。」
レイヤの態度は冷たく、リールの事なんて一欠片も頭には無いのだろうか。
リールは好奇心と共に不安と恐怖心を抱く。

「それともなんだ、父親に会いたいのか?」
冷たい態度でもきっとレイヤの心は温かい、そう信じてる。
「会いたいけど……どうせ今日は帰って来ないもん。」
石を一つ蹴ってすねて見せる。
するとレイヤは何だか焦ったようで声を荒げた。
「なんだよ!俺が居るだろ!!」
うるさい位の音量で耳が痛い。

「そうだね、ありがとう」
でも僕は怒らなかった。
なんだか胸が温かいから。

どうか夢じゃありませんように。

町中をふらふらと歩いても子供の姿はなかった。
薄汚い服を着た大人達も、険しい顔をしてる大人達も、可笑しいくらい笑ってる大人達も、なんだか怖かった。

ついつい、帰りたいなんて思考が脳内を巡る。
治安が悪いってこういうこと?
そんなことをぼーっと考えていた時のこと。

「わっ……」
何かにぶつかった。
それは僕よりも大きくて、怖かった。
「うわっ、やっべぇ………」
レイヤもそれには反応を示す。
睨みつける鋭い瞳に身を硬直させる。
もう足も動かない。

「おい、しっかりしろよ!!」
脳内に響くこの声も、もうまともに聞こえなかった。

そして手をつかまれた瞬間に、僕は自分でも良く分からない叫び声をあげて倒れた。