ゴースト×ゴースト小説、真っ黒現実世界

「ええ!?どういう原理!?」
あまりに驚いたリールはヘッドフォンを外した。
「おい外すな!!」
音量を勝手に上げたのか大きな音が外したヘッドフォンから聞こえた。
ゴメンと一言言って付け直した。
「まぁとりあえずはだな……俺がヘッドフォンからお前に指示を出せば安心だろ?」
少し温か味のある声が脳内に響くようにヘッドフォンから流れ込む。

わくわくの気持ち、不安も少しはあったかも知れない。
でも僕は外に出たくて。
「うん!!じゃあ行こうよ!」
あの時はまだ笑顔だった。
楽しくて嬉しくて、仕方なかったけど。

「ホントに大丈夫だろうな………」
レイヤにとっては心配でならなかった。
ホントはヒトの事なんて最初はどうでもよかった。
でも何故だろう、リールは放っておけない。

「大丈夫!頑張ろうね!」
その張り切った声にレイヤはああ、と短く応えるしかなかった。

玄関まで迷いながらズカズカと歩いて行ったリール。
レイヤは外に出るまでは黙っていた。
「あれれ、開かない」
がちゃがちゃと扉を動かすが扉はビクともしない。
「鍵じゃないのか。」
鈍感すぎるリールにそっと囁いて様子を伺う。

「あ、鍵かも〜」
かちゃっと音を立てて錠が外れる。
吹き付ける風は新鮮で、幼いリールの心を揺らす。

血生臭い事にも少年は気付かずに。
「わぁっ!凄い!!」
勢いよく飛び出て行ったリールをレイヤは口で制する。
「ちょっと待て!危ない!って言ったばっかだろ?」
その言葉にリールは歩みを止めて苦笑する。
「分かったよ〜、で、どうするの?」
傍から見れば独り言だがそれは違う。
まぁ誰もヘッドフォンにウイルスが棲みついているだなんて思わないだろうが。

「とりあえずそこら辺歩いてみろ。」

「言っとくけど、俺はお前の身がどうなっても責任とれねぇからな!!」

大きな声に初めて怖くなったかも知れない。

「責任取れたらとってくれるの?」

その天然発言にもいい加減呆れるが一息ついて許す。

「とるわけねぇだろっ」

ここから僕達の、俺達の世界探検が始まった。