ゴースト×ゴースト小説、突飛な出会い

どんよりとした、暗い世界。
そこに居たのは誰も見覚えのあるような姿だった。

深く黒いフードを被った瞳の紅い少年。
長い白の髪が地についた、また目の紅い少年。
所々焼け焦げた布切れを身にまとう茶髪の少年。
寒さに凍えるように倒れこんだ薄着の少女。
火傷が痛々しい美しい少女。
切傷の酷い、極めて普通の少年。
何かに手を伸ばすように涙を流す少女。
何かが貫いたように腹の辺りが赤黒くなっている少女。
狂った様にただ彷徨うような少年…………

そう、神々達の姿。
深い悲しみの中、何かを求め死んでいった哀れな者達の姿。
ただ闇の世界に閉じ込められた者達。

生きていたのは四人の子供。
幼い容姿は真剣にこちらを見つめていた。

「君は僕なんだ、どれだけ頑張っても報われないのはよく似てるね。」

「……俺が生きてるなんて意外……。ホントに神になったんだ。」

「ウチなんだね、元気そうで良かった。」

「何で僕が……?お姉ちゃんは?助かってないの?ねぇ誰か………」

ヒトの姿と神の姿がそれぞれ向き合った。
神々は唖然とした。
さっきまで嘘だろうと聞いていた自分達の前世が在るなんて、幼い三人は酷く驚いたことだろう。

「嘘でしょ……?」

「ウォリスの幻なの……?」

「あの話と一致してる……」

「信じられない………」

自分を知っているデヴィーセが驚いているのなら実際の姿なのだろう。
残酷過ぎる運命に狂ってしまったのだろうか、何が本当で何が嘘なのかも検討がつかなくなってしまった。

「闇の心と破壊の力。」

「素晴らしい風の感触。」

「あったかーい炎の温度。」

「時を止められる力と空間移動の力。」

口々に語られる、それぞれが求めた力。

「幸せ?その力があって。」

黒い少年の言葉には、誰しも黙り込んでしまった。
あってもなくても、それなりに普通に過ごしたと思う。
寧ろ無かった方が幸せだったかもしれない。
こんなに辛い想いをした自分が目の前に居たのに。

何だか、救われてほしかったって。
僕達みたいな偽者の神なんて居なくたってさ。

暫く、沈黙が続いた。


−後書き−
暫く更新してませんでした!
スイマセン><

ウォリスによって連れて来られた謎の空間。
それは幻なのか、現実なのか……
前世の身体が在るその空間で、神々の想いは語られるのか?

次回もお楽しみに!