ゴースト×ゴースト小説、運命に嫌われた神々

誰もが真実を知り、他人事のように感じていた。
生き続ける者に次々と降りかかる絶望。うんざりしてしまうレベルだ。

「真実は恐ろしいものでしょう。」

「私はあなた達を殺して魂だけを人間に返そうとしたのです。」

ウォリスがそんな事を考えていたなんて、幼い三人は驚きを隠せなかった。
しかしデヴィーセだけはその論文にも怒りを向けた。

「なんだよ、生まれ変わったら必ず幸せになれるのか?」

「幸せにする為に神にしたんじゃないのか!」

俯いたままウォリスに想いをぶつけていく。
覚えていて一番辛かった、そんな気持ちに耐えられなくなっていた。

「同じ不幸者に会っても誰一人覚えていなくて」

「幸せだな、そう思って。」

「でも気付いたんだよ、辛いのは僕だけじゃない。それが当然なんだって。」

拳銃を強く握り締め、前を向く。
何が怖くても辛くても、前を向かなければ何も進まない。

「君には分からないんでしょ。」

「死んだ者たちの気持ちが。」

誰もみんなデヴィーセの言葉に耳を傾け、そして真剣だった。
デヴィーセは言いたいことはまだまだあると拳銃を構え続ける。

「僕は死んだ時の記憶があるし、気持ちがよく分かるんだよ。」

「お前は間違ってる。全部創造できる、そう思ってるんでしょ。」

「お前に人の心が創れるとは思えない。」

デヴィーセは寂しさにこらえて言う。
ウォリスの眼差しも真剣だった。

「私が不完全だと言うのですか?」

「ああ勿論、不完全さ。」

今のデヴィーセに笑顔の仮面は無い。
もう素直だ。犠牲者に教えられたこと。

「でも私はやめません、これは運命ですから。」

鋭い視線は交わり意思を語る。
お互いの気持ちは理解されなくても、敵対の意思ははっきり伝わる。

「まだ分からないのかっ……」

今にも銃声が鳴り響きそうな雰囲気に幼き三人は息をのむ。
しかしウォリスは微笑んで、ニコニコと言う。
この言葉が僕達を地獄と言う世界に連れて行ったのかもしれない。

「私は頭が悪いですから。」

「だから運命をしっかりと定めます。」

「あなた達を平凡に帰しましょう。」

「でも勘違いなさらないで?」

「必ず不幸な運命が待ち構えていると覚悟して下さい。」

そういうと彼女はまるで幻を創り出したかのように僕達をある場所へと連れ去ったのだ。

僕達はここで儚いと言う言葉を知ってしまう。

そう、それは人間の世界と言う地獄の始まり。


−後書き−
もう少しで完結するはずですっ
もうちょっとお待ちを……((

デウィーセとウォリスの考えが噛み合わぬまま、幻によって別れてしまう。
これから何が起こるのだろう。
ウォリスは一体何者なのだろう……

次回もお楽しみに!