ゴースト×ゴースト小説、氷の話。

「船で逃げるの?」
私は尋ねた。
周りの大人達は優しく「そうだよ」と答えてくれた。

私は陸へと向かう船の中、ゆらゆら揺れながらみんなのことをぼんやり考えていた。
みんなは生きてるのか、私のこと忘れてないか……
涙が溢れてきてもこんな忙しいときに心配させる訳にはいかない。
私は必死に我慢した。

質素なご飯を口に入れたり、厚着をして暖をとったり、することは多少あった。
でも考えるのはみんなのことだけ。
「大丈夫…私が生きてるんだもん、みんな私より弱いはず無い。」
私は泣き虫で心配性。
みんなにずっと言われてきた。
私よりみんなは強いし、死んでるはず無い。

「大丈夫大丈夫っ」
そう、口にしたときの話。

−ドーンッ……

物凄い音と共に船が揺れた。
大人達が逃げろと大声で叫んで非難していた。

私も必死の思いで甲板へと出た。

見えた光景に眼を疑った。
だってゴーストが私たちの船に大砲で襲撃してるの。
「止めて!!」
私は自然にそう叫んで。でも止めるわけ無い。

沈んでいく、燃え盛る船。
私は足を滑らせて落ちていった。

ああ、絵本で見た。
魔法でたっくさーんのモノを凍らせて。

氷の力が欲しいな。
そしたら、海を凍らせて、船も凍らせて
海に歩けるようにして、火も収まらせて。

生きれるよ……。

私は海へ沈んでいった。
息苦しくて、瞳を閉じた。


−後書き−
後書きに書くコトも無くなってきた……
あ、部活卓球だよ〜
先輩面白い!!

次々と命が尽きて行く。
一人の弱虫少女が言った願いの言葉。
でも届くはずも無かった………。
次残るのは一人の少年。
人間とゴーストのクウォーターならではの悲劇。
さあ彼の願いは?

次回もお楽しみに!