ゴースト×ゴースト小説、偽りと真実

「何か企んでいますね、時空神は。」
セラセードの背後に現れた創造神ウォリス。
「………これ以上俺に出来ることがある?」

まるで操り人形、ウォリスの命令を待つ。
ただ自分の瞳の為。
「私の側に居て下さい、寄って来たら殺すのです。」
そう、言われた。
セラセードは俯きながらも、
「分かった。」
困惑して呟いた。

そして、ウォリスが去った後、セラセードは悩んだ。
俺はこのままでいいのか、と。
誰もみんな大好きだった。
優しいし、楽しいし、側に居て嫌な気はしない。
でも、この紅い目が無ければそれ以上に幸せだ。
その欲望に過ぎない願いの為に、俺は三人も殺したって言うのか。

自分が嫌いだ。
死んだ方が……楽?
そうだよ、俺が殺した人達と一緒になる為に、闇に行けばいい。

デヴィーセが落ちた崖に俺は近づいて行く。
此処から飛び降りたら死ぬことが出来る。

「あはは……待っててみんな……俺も……」

そう、言った時。
それを遮るように響いた銃声。
その合図と共に鳴り響いた雷鳴。

「僕は生きてるよ、セラセード。」

振り返って見えたのは時空神デヴィーセだった。

「勝手に死のうなんて思わないで。」
「ウチもそれは許さんで!」

それに続いて現れたのは邪神ファルシードに炎神カルル。

「何で……!?」
顔を見渡すセラセード。
俺は最低で、殺人鬼、なのに助けに来た?嘘だ、偽りだ……。
だがデヴィーセもファルシードもカルルも、みんな真剣だった。
「ねぇ目を覚ましてよ!もう僕を裏切らないで!!」
ファルシードの悲痛な叫びが、セラセードの耳に届く。
それは涙ぐんでいるようにも聞こえて、セラセードの心にも強く響いた。

可笑しいんだ、こんなことあっちゃいけない。
俺は最低だから死ぬんだ……。

「何を…………っ」
頭痛が酷い。ダメだ、彼は優しくて、憧れのようで。

また一緒に笑いたい………っ

「君なら分かってくれるでしょう?僕の気持ち!」
一歩前に進んだファルシードに対し、一歩後退りしてしまうセラセード。

もう、落ちてしまう位に。

「俺には分からない……何も!!!」

やめて、愛情なんて。
ファルは俺以外にも大切な人が居る。
俺なんか要らないでしょ。君には似合わないでしょ!

酷く頭が痛んでふらついた。

「危ない!!」
カルルは涙まで流して必死に叫ぶ。

「……っ」
セラセードは紅い涙を零して、落ちそうになる中、手を伸ばした。
「セラっ!」
何をされても、やっぱりファルシードにとっては大好きで、大親友で。

掛け替えの無い友達、それだけは否定出来ないんだ。

その手を取った、ファルシード。
その感触に反応してセラセードは紅い目を見開いた。

俺なんかを助けたの?何で?

「裏切らないでよ、もう僕のこと……っ」
ファルシードは笑った。その優しさは本物で。
セラセードは驚いた。

どうして信じるのかと、どうしてこんな自分を愛するのかと。
でも嬉しかった。自分を必要としてくれて。

「……ありがとう……っ」
その手を引かれ、二人で笑い、友情を誓った。

カルルとデヴィーセも、その光景に優しく笑った。
そして幼い闇と風は言った。
必ず、世界を救って。運命に勝つと。

「行こう、運命と立ち向かいに。」

そう強く言い放った。


−後書き−
まだ結構ありますよー……
我慢して下さいね、ks文才………。

狂ってしまったセラセードを救ったのはやはり邪神ファルシードだった。
ずっと側に居て。そんな願いがお互いに通じ合う。
もう誰にも壊させない、この友情を必ず絶対的なものにする。
そう誓ったから……。

次回もお楽しみに!