ゴースト×ゴースト小説、伝わる感情

『聞けぇぇぇええ!!!』

雷鳴の轟く音と共に大きな声が聞こえた。
それはどこかで聞いたことのある声だった。
「……デヴィーセ……?」
セラセードはその声の方に耳を傾ける。

『この戦い、ウォリスには勝てない!!』

カルルも目を向ける。
デヴィーセの一言一言に驚きながら。

『こんな運命変えられない!!!』

その台詞にセラセードは首を傾げた。
「なんだって……?」
少し険しい顔をしたと想うと、セラセードは少し考えてから風に呑まれ、消えていった。
「……セラセード?」
カルルは不思議そうに目をまるくする。

『犠牲者っ…!リザリス!ルクレツィア!グランディーネ!ノルヴェランス!イングリーネ!!』
その言葉に耳を疑ったカルル。
「……そんなに死んじゃったの?」
恐れを抱くように、声は震え、寂しそうに呟く。
すると犠牲者に反応するかのように。
「……なに…?」
ファルシードは頭を小さく抑え目を覚ます。
「しっ……」
カルルは口の前に指を当て、小さく言った。

『僕達の為に犠牲になったんだ!!』

「…反乱運動?」
まだ少しぼんやりとしながら小さく呟いたファルシード。
その言葉にカルルは、
「デヴィーセや、何かウチらに伝えようとしてるっ。」
そう言った。
二人がこそこそと話をする中、デヴィーセの話は進んで行く。

『イングリーネだって!!!』

「イングリーネ?」
ファルシードは不思議そうに呟く。
「…あれはイングリーネの雷光…!!」
仲間だったからと言うように目を細めて呟いた。
「……えっ!」
その言葉には驚きを隠せなかった。

『負けたっていい!大切な人が死んで気付いたでしょ!?』

「僕が殺した………」
そう俯くファルシード。
「大丈夫やって……!」
カルルはまた、優しく語りかける。

『これから変えればいい!!人間が創造されても、十分やり直せるよ!!』

その言葉を聞きながら周りを見回しハッとしてファルシードは言う。
「そう言えばセラは?」
そう聞かれるとカルルはどうしたのだろうと言うように応えた。
「さっき風使ってどっか行ったで?」
ファルシードはゾッとした。
今は正気を失っているセラセード危険なことをするに違いない。
殺すことに飢えていたようだったし…
「まさか…デヴィーセを殺す気じゃ…っ」
恐る恐る吐き出した言葉。
「えっ!?」
カルルは青ざめて驚いた。

『みんな目を覚ましてっ!!!』

その確かなデヴィーセの言葉にファルシードは覚悟した。
「早く助けに行こう!!」
カルルと手を繋ぎ、闇の中へ。

デヴィーセを助けに。


−後書き−