ゴースト×ゴースト小説、偽りの戦。
「イングリーネ……」
ノルヴェランスは振り向いた状態で小さく呟いた。
「久しぶりだな、お前と会うのも。」
ニヤニヤと笑いながら言うイングリーネはまるで戦うことを望んでいないように。
「戦うんだろ?」
振り翳していた剣を構え、そう言った。
「おっと、待ってくれよ、俺はその神剣に勝てる気がしなくなったんだ。」
「戦ったってことにして、一つ情報交換と行こうぜ。」
ノルヴェランスは驚いた。
しかしイングリーネは笑顔のままで、言葉を繋げる。
「俺はウォリスの下に向かったグランディーネのことを教えてやるよ。」
「だからお前は犠牲になった緑神リザリスについて、教えてくれ。」
なんて、交換条件までさらさらと述べるので、
「さては何か企んでるな。」
と、彼を睨みつけ、剣を構えた。
「違う違う、平等にやってるだろ。なんだったらもう一つおまけで何か教えてやるから交渉に乗れ。」
しかし用心深いのもノルヴェランス。
彼は条件をこういうモノにした。
先にイングリーネに二つ述べてもらい、それが得するものなら自分が後に話す。
という単純なもの。
それにイングリーネはあっさりとOKし、語りだした。
「これは今さっきウォリスから聞いたホントの話。」
「実はあの人、戦う気なんてさらさらなくってさ」
「グランディーネを捕まえるのが目的だったらしいぜ。」
そこまで語っただけで、ノルヴェランスは酷く驚いていた。
「嘘だろ……」
「今頃捕まってんじゃねぇの?ウォリスは腹黒いから。」
なんて、自分の上司を嘲笑うように言うのだ。
「助けに……っ」
「あ、後一つ。」
イングリーネは今すぐ走って行く勢いのノルヴェランズをそう言って止める。
「ファルシードは裏切り者だ。」
「これは数千年も前から分かりきっていた運命。」
「あいつは悪であることが宿命であり定めだ。」
そう告げると、イングリーネは笑った。
「本当なんだな……」
寂しそうに呟くノルヴェランスに、イングリーネはああ、と短く答えた。
「じゃあリザリスのこと……」
そう急ぐように、残念そうに、切り出したノルヴェランスをイングリーネは止めた。
「やっぱその話いいや。また今度聞かせてくれ。」
「今は助けに行けよ。」
イングリーネは初めて素直に笑ったのだろう。
そう言うと、消えてしまったのだが。
「イングリーネ……あいつまさか……」
ノルヴェランスは感じていた。
ほんの微かな「予感」を。
−後書き−
なんか紛らわしくなってきてスミマセンね。
イングリーネは戦う気、あったんでしょうかねー。
イングリーネって多分誰よりも鋭いと思う、色んなことを予想するのが得意なタイプ((
作戦立てるのとか上手いんじゃないかな〜
新たな出会いは戦と共に。
しかしイングリーネは何故か戦わずに情報交換を求めた。
ノルヴェランスは新たな情報を手に入れ、グランディーネが捕まったことを知る。
イングリーネは『交換』と言ったのに、何故か一方的に話して去っていった。
イングリーネの微笑みには一体?
次回もお楽しみに!