ゴースト×ゴースト小説、演技の先

「ウチは敵ちゃうんやて!」
炎を撒き散らし逃げて行くカルル。
「嘘よ!ウォリスのそばに居たくせに!」
ルクレツィアは今こそはとカルルに怒りをぶつけた。

「もう謝るからっ!許してよっ!」
必死な声は少し大人びた少女に届くが、
「それも演技なんでしょ!くだらないわね!」
想いまでは届かない。
燃え盛るような赤い瞳にうっすら涙を浮かべながら、カルルは言う。

「ウチだって……苦しいよ」

炎と氷では相性が悪い。
戦おうとしないカルルにルクレツィアは放つ。
「終わりよ」
と。
戸惑う少女に貫こうとする氷の刃。

「ゴメンなさいっ……!」

響いた声にも、刃は止められず。
幾つもの鋭い刃。
終わりだ、殺される。
覚悟したその瞬間、

抱きしめられる、その感覚。
強い力に押し倒される。
そして聞こえた、あの声。

「あははは!残念無念!悪いねっ裏切り!!」

狂ったような甲高い笑い声。

そう、あの黒い影。
ファルシード。

「嘘でしょ……!?」
ルクレツィアが瞳を見開いて驚く。
ファルシードはただ笑みを浮かべる。

「邪神を仲間にしようなんておふざけにも程があるよ!」

カルルには見えていた。
その近過ぎる笑みが引きつっているのが。

「あなたも敵なのね……」
ルクレツィアも戸惑う。

そして、ファルシードは言う。
カルルと顔と顔を向き合わせて。

「遅くなったねカルル。僕は君を信じよう。」

真剣な顔を見せて、目と目を合わせる。
「ありがとう…ウチ、怖かった……」
涙を流す、安心した表情にファルシードは笑顔を見せた。

そしてルクレツィアと向き合った。

「僕と勝負だ!!」

命を懸けて、戦おうと。


ー後書きー
こんにちは、あかねです((知ってるよね
ファルシードが裏切りました〜……
でもカルルの味方って、裏切ったに入るんでしょうかね。

戦いたくないと助けを求めたカルル。
助けてくれる相手などいないと知りながらも。
しかし彼女を助けたのは真黒な影。そう、ファルシードだった。
彼女を救う為、ルクレツィアに勝負を挑むファルシードだが……

次回もお楽しみに!