ゴースト×ゴースト小説、奇跡の嘘

「何やってるの?デヴィーセ。」
まるで鏡のように似た姿をした少女が、デヴィーセの下へやってくる。
「姉さん…」
そう、二人は双子だった。
緑神リザリスと時空神デヴィーセは双子。

「私が犠牲になること、まだ悩んでるの?」
座り込んだ弟を抱きかかえるように、優しく触れた。
「だって…」

「死ぬわけじゃないし、大丈夫だよ?」
そんな、デヴィーセを構う口調が寂しい。
「貴方は運命を知ってるでしょう?」
悲しげに呟くその表情は淡い。
花は美しくとも、いつかは枯れて散ってしまうもの。
彼女と同じなのだ。

「残酷だ、運命なんて僕が壊してやる。」

姉を構う弟。
お互いがお互いを想って、壊れてしまいそうで。
「無理はしないでね?」
そう言って、差し出された蒼い薔薇。
その薔薇に、デヴィーセは薔薇から離れる。

「あはは…何をしてるの姉さん…僕は…」
その美しい青い薔薇にデヴィーセは恐れを抱く。

「大丈夫、花言葉は奇跡、神の祝福・・・・」

その言葉はデヴィーセの嘆きにかき消される。

「姉さんは馬鹿なの!?僕が花に触れて、その花言葉が叶った事がある!?」
まるで彼が狂ったように叫び声を上げた。
リザリスはその声に俯く。

「…僕には…似合わないんだって……」

そのリザリスの手から青い薔薇を奪い取るデヴィーセ。
しかしデヴィーセの手に渡った瞬間に、

「…奇跡なんて……無いんだよ…」

青い薔薇は灰のように黒く染まり、風に散った。
彼の瞳も、美しい青は濁り、また心を閉ざしたようで。
デヴィーセは消えてしまった。

「守れなくてゴメンね……」

「弱くてゴメン…デヴィーセ……!」

少女は泣いた。少年とは違って。

涙を流せた。


−後書き−
このシリーズ超長くなります((断言
でも一人一人細かく書いてくので・・・
お付き合い下さい><

美しき奇跡の双子達。
しかしまるで正反対の二人。
花を咲かす姉、花を枯らす弟。
涙を流す姉、涙を流せない弟。
お互いに苦しむ想いを堪えながらついに迎える大戦争…大丈夫なのか?

次回もお楽しみに!