ゴースト×ゴースト小説、苦難の果て

「何で笑う…か。」
デヴィーセはファルシードに言われたその言葉を何度も何度も頭の中で繰り返していた。

『時間が無い……!』
それは焦りに焦る自分の声。
笑わない時、常に反響するのはその声で。
今でも体が震えてしまう。

「むしろ、表情なんて知らなきゃ良かった…」
声は震えて、それは酷く孤独で。
でも彼は涙を流さず、一人で思い悩む。

「結局どんな表情をしたって僕には似合わないさ…」
自分が存在するのは時と言うモノだけの為。
それ以外には必要ないし、邪魔なくらいなんだろ。
「あー…姉さんどうしよう…」
そう助けを求めても、彼は笑顔だ。
その笑顔は自分を嘲笑う。
苦しそうに、寂しそうに、嘲笑う。

「どの時代も…季節も…服も…髪型も…」

「僕には似合わないよっ……」

彼が何故其処まで思い悩むのかは分からない。
少年は人前では何も言わない。
笑顔に自分を隠し、ただただ孤独を愛する。

少年は、自分に似合う、唯一つを探していた。

でも、幾ら手を伸ばして求めても、ありつかないモノがあると、知ってしまった。

「似合わないなあ……」

自分に似合わない顔、気温、人、感情、運命、花………

「どうしよう……」

その言葉は、焦る想いと共に飲み込まれた。

また、仮の笑顔をつくった。


ー後書きー
デヴィーセがどんなキャラなのか検討もつきませんね((

デヴィーセの笑顔に隠された想い。
ツラさも痛みも悲しみも、全て流せるモノは「彼自身の涙」。
しかし、ある出来事で彼は涙を枯らしてしまった。
完全に行き詰まったデヴィーセ。
必死に苦しみから逃れようとするのですが……。

次回もお楽しみに!!