ゴースト×ゴースト小説、時空神の帰還。

「また随分とへこんでるね」
その声が神殿内に響く。

「…!」

三人は驚く。彼の姿を見て。
短く切った金髪。整った顔立ち。人間の生まれる何千年も前の世界にしてはハイカラすぎる服を着た少年。
「デヴィーセ…!」
ノルヴェランスは彼を見てすぐ、驚きと歓喜に溢れた。
その後に続いてグランディーネもルクレツィアも、笑顔になった。
「帰ってきたのね…!」
ルクレツィアはその喜びのあまり、涙まで流した。

「そんな泣かないで、一生帰ってこないなんて言ってないよ」
少年の名はデヴィーセ。
時空神として幾度も未来へ行き、確かな答えを導いている。

「良かった…貴方の助けが必要なの…」
グランディーネは少年に手を差し伸べた。
「今回は何の用件?」
デヴィーセは力強くその手をとった。

時を越えられることは未来を知ることが出来るということ。
グランディーネ、ルクレツィア、ノルヴェランスの三人はどうしても答えがありつかない時、デヴィーセに頼っていた。
これこそまた何年も前の話だが、デヴィーセはウォリスに忠誠を誓っていた。
だがウォリスの罪に値する行為を知り、その強い意志から裏切ったのだ。

それからの話、未来に頻繁に行くようになり、グランディーネ、ルクレツィア、ノルヴェランスにこれからの理想に近づける為にヒントを与えている。

「ウォリスがあたし達に争いを…」

「ああ……来てしまったね、この日が。」

デヴィーセは悲しげに笑った。

「実際に、未来には聖域の花畑は無くなっている。」

「恐らくウォリスが……」

そこまで言うとデヴィーセはグランディーネ、ルクレツィア、ノルヴェランスの三人を強く見つめた。

「この世界を救えるのはもう君達しかいない。」

「どうか、ウォリスを止めて見せて。」

三人はその言葉に決意をし、しっかりと頷いた。
その真剣な眼差しを一人一人見ていくデヴィーセ。
その決意に少年は微笑んだ。

「僕も、出来るだけ協力するよ。」

その笑顔は今まで三人を見守ってきた笑顔だ。
その笑顔に、三人は安心したように笑顔になる。

これから、この四人が、世界中の笑顔を守ることになる。