ゴースト×ゴースト小説、笑顔の影。

「初めまして」
明るい声が、花畑に響いた。
「時空神デヴィーセって言うんだ。」
泣きじゃくる風神に、デヴィーセは囁いた。

「お前……」
セラセードは怒り狂っていた。
犠牲という一言が彼を破壊へ誘って。
「君はこの運命に立ち向かわないの?」
パーカーのポケットに両手を入れ、一面の花を見ながら彼に言う。

「此処はホントに、未来には無くなるんだよ?」

明るい声は一気に下へ落ち、切なげに呟く。
もう涙は出ないというように、デヴィーセは口だけで微笑む。

「此処は素敵な場所さ。今がどれだけありふれているものか。」

「でもそれは……全てウォリスに壊される。」

一輪の花に触れながら、小声で言う。
そして前を向き、気を改めるように、

「その花綺麗だね、スターチスかな?」

セラセードの髪飾りに付いた、白い花。

そのスターチスを暫く見つめた後、
「でも僕には似合わない」
と、目を逸らして言った。

暫くの無言。
セラセードは、デヴィーセがリザリスに似ていると思ってしまった。

太陽に輝く金髪、青の瞳、微笑む表情。
リザリスの鏡だと思ってしまうほどに。

「とりあえず、グランディーネ達の所へ戻るといいよ。」

そう言うと彼は風に吹かれて消えた。
その消え方もどこか儚く、似ていた。

紅の視界を、疑った。