ゴースト×ゴースト小説、計画の裏

「今回実行することは…」

「ウォリス達とあたし達の住む世界を分けるわ」
世界を分ける、その言葉に幼い二人は首を傾げる。

「じゃあこの説明は私から。」
薄く蒼のかかったショートカットの髪を揺らし、小さく手を上げるルクレツィア。
「実際この世界を分けるって言うのは無理なんだけど…」
と言いながら掌の上に、世界に真似た氷を創り上げる。
「ウォリスの住む場所と私達の住む場所を区切るんだよ」
その氷の世界は、あっという間に壁で半分に区切られた。
「ウォリス達と違う世界を創り上げることは別世界に住むってことね。」
そう簡単な説明をし終わるとその世界は壊された。

「そんなこと出来るの?」
そうファルシードは単純な疑問を抱え、セラセードもうんうん、と首を縦に二回振る。
するとグランディーネもルクレツィアもノルヴェランスも、少し寂しそうな顔をした。
「…犠牲が必要なの。」
グランディーネは、そう小声で呟く。
「……犠牲…?」
セラセードはその言葉に不信感を覚え、ファルシードの陰に隠れた。
「ああ…、聖域の花畑って知ってるか?」
ノルヴェランスが口にする『聖域の花畑』とは、緑神リザリスが創り上げた花畑だ。
「…知ってる……」
何故か不安げなセラセードにグランディーネは優しく語りかける。
「あの場所を…ウォリスにあげないといけないの……」

「…勿論、リザリスも…ね」
グランディーネの言葉にルクレツィアが付け足す。

「…ダメだ……」

震える声で呟くセラセード。
心配になったファルシードがセラセードの方を見た瞬間、
「……っ」
セラセードは紅の雫を振り払って走っていった。
「セラ!」
ファルシードもその後を追う。

「…セラセードくんって…確かさ……」
ルクレツィアが二人が去った後を見つめながら呟いた。
「言わないでおきましょう…、彼と…ファルの為にも……」
グランディーネも切なげに呟く。
「…ああ。」

その後三人はその神殿で、それぞれ考え込み、黙り込んだ。