ゴースト×ゴースト小説、平和の理想

「おまたせー」
グランディーネの後を追ってきたファルシードとセラセードはその光景に息をのんだ。
自分達がいるのは神秘的な神殿内部。
美しい湖が溶けない氷に包まれ差し込む光を反射する。
「……凄い……」
幼い二人は真剣に見つめ、セラセードは瞳を隠すことも忘れていた。
「……ようこそ。」
大人びた女性の声。
「お前ら確か…邪神と風神じゃん!」
芯の通った青年の声。
「紹介するわ、氷神ルクレツィアと戦神ノルヴェランスよ。」
そうグランディーネが言うとルクレツィアは「よろしく」と優しく微笑み、ノルヴェランスは「よっ」と笑顔で言った。
「僕は邪神ファルシード!」
「…風神…セラセード……」
二人がそう紹介し終わり、グランディーネは四人を見渡す。

「自己紹介も終わったし本題に入るわ」
しっかり者のグランディーネ。
いい手というのもそう悪いモノでは無いだろう。

「あたし達が主にしていることは、この神の世を平和にすることなの」
グランディーネは、ルクレツィア、ノルヴェランスと共にこの世界を整えているという。
神と言う存在に荒っぽい者が居れば、その者が司っているモノが強力になり、世界のバランスが崩れてしまう。
その事態を自分達の力で抑えているのだ。
「俺達みんな、この世の中を幸せに過ごしたいんだ」
短く切った茶色の髪を揺らしながらノルヴェランスが言う。
「そうしたいんだけど…ウォリスは妙に私達のこと敵対するの」
口々に三人が不満を口にする。
「そう。だから統治も難しくてね…」
グランディーネは少し困った顔をして笑う。
「…それで、また今回も変なこと言ってきたでしょう?」
ルクレツィアは怒った風に口にする。
「だから今度こそ決着をつけようと思ってんだ。」
ノルヴェランスは鋭い剣の刃をみつめ、呟いた。
「協力してくれないかしら。あたし達と一緒に戦いましょう?」
透明感のある白い手をグランディーネが差し出した。
その後に続いて、ルクレツィア、ノルヴェランスが歩み出る。

それに二人はお互い頷き、
「僕達に出来るなら、協力するよ」
ファルシードは真っ直ぐにグランディーネを見つめた。
「ありがとう、感謝するわ」
グランディーネも、真っ直ぐに瞳を輝かせた。