ゴースト×ゴースト小説、マボロシメモリー
春は暑さに溶けた
夏は落ち葉に飲まれ
秋は幻想を捨て
冬は暖かさを知る。
ムゲンを漂う地獄も
全てに終わりを告げた。
そんな日が、もしくるなら
僕は海に溶けよう。
傷口から溢れ出すアカの鮮やかさも
僕は処理ができずに
脳内に溶け出した
優しさだけを望む。
幻は怖くない。
誰かに会えるセカイ。
それはたった一人の
美しい僕の夢。
この冷めた現実に
僕は「コドク」を覚える。
「ヤサシサ」の感覚も
データにはもう無いの。
ただ「幻」に頼る。
夢を見て笑顔になる。
「アノヒト」が教えてくれた、
ヨロコビを育てるよ。
涙がもう出ないなら、
「アノヒト」が望んでいた、
「データを探すよ」
僕の、僕だけの「幻」を。