ゴースト×ゴースト小説、世界の影

痛みを感じて幸せだと思ったのは初めてだ。
鎖から放たれた体は自由だった。
でもそれと同時に酷く痛みがあった。
何千年もの間縛られていたために、跡も痛々しく残っている。
そうそう見られるモノじゃないと知っていても自然と隠そうとしてしまう。
これが人間の言う恥ずかしさ…?
色々、勉強になることはありそう。
でも、実際気に入らない。
人間には何も言われたくない。
間違った判断をした人間には。
やっぱり許せない、人間の何を見ても、知っても、許せる部分が見つからない。
「絶対に許さない…」
人間が行き交う町を歩いてみても、脳内に反響するのはその言葉だけ。
紅の目を否定するのはまだ変わっていないようで。
「憎しみの目……」
過去の人間の言葉が、頭から離れないのはいつもだ。
「人間様を…称える……」
称えるべき人間が多過ぎて。
逃げ出してしまいたい。
いや、壊してしまいたい、かな。
「僕の願いだ…それが…最後で良い…。」
全ての終わりがいつになるかなんて、そんなの人間は知らない。
知っているのは僕だけでいい。
闇に全てが溶ける瞬間を見届けるのが僕の役目。
いいでしょ、もう僕のことを知る人なんて、居ないに等しいんだから。
「僕が何をしようと大丈夫さ。」
なんて考えちゃうから。

ちょっとお茶目な邪神様の話。