ゴースト×ゴースト小説、神の別れ

届かない、そう、きっと会えない。
それなら、彼につらい思いをさせないようにしよう。
この弱ってきた、使えなくなってきた魔力で、最後に魔法をかけよう。
「元気で……ね。」
涙がこぼれる。
ぽたぽたと、幾つも幾つも落ちていく。
今までで一番泣ける。
何故かって?何故かって……
この魔法は、
ー記憶を、抑えるー
心の奥の奥へ、記憶を閉じ込める魔法。
要するに、少年が、セラセードが、僕、ファルシードを忘れるということ。
大丈夫、それで彼は苦しい思いをしないから。
「……ゴメンネ。」
始めるよ、君はもう数年僕のことを思い出せない。いや、一生かもしれない。
でも大丈夫。大丈夫、僕は忘れない、忘れるもんかっ。
「忘れないよ……、大好きなんだ……でも…でもぉ……っ!」
つらいよ…、もう息も上手く出来なくて。
もう術が完成する。
もう、仲良くした記憶も封じられる。

ーサヨナラー

…終わった。
記憶は全部、封じられた。
「ありがとう、セラ。」
泣きたい、泣こう。
吐き出してしまおう、この気持ち。
苦しいから、つらいから。

「セラー!ああああああああ!!」

暗い空間に、何度も叫び声が反響して。
少し、壁が崩れていく。

何度も、いつまでも、叫んだ。

怖くて、痛くて、つらくて…
どうすればいいか分からなくて。

孤独が嫌で…。

「怖いよ……」

その言葉しか出てこないの。

神の別れが終わって。

人間のHAPPY ENDが終わって。

迷惑でゴメンなさい。

悪者で、ゴメンなさい……。

……人間様へ。

幸せを、送りました。