ゴースト×ゴースト小説、神の後悔

手を前に出した。
人間は剣を構える。
そしてセラを盾にした。
卑怯だな…、やっぱりどっちかが犠牲にならなきゃダメなんだ。
それなら…
「人間…、様。」
膝をつけ、頭を下げろ、人間を称えるんだ。
「僕が…やりました。僕が、なにもかも…壊しました。」
よし、言った。言いきれた。
「ファル……!?」
心配しなくて大丈夫だよ、セラ。
ちょっと怖いけどね…。
「ですから、僕が全て責任を負います。彼には…何もしないで下さい。」
これでいい。いいんだ。
「さあ…、罰を。」
何されるんだろうな…。
人間のことだし嫌なことするんだろうな。
「痛っ……」
鋭い痛みがあった。
気付けば、ナイフが腕を切り裂いていた。
動くな、抵抗するな。
このままだ。我慢だ。
ああ、ひそひそ相談してるな…。
死なせてはダメとか、痛めつけるとか…。
「ファル……」
「…セラ…」
セラが来て、泣いた。
「俺のせいで……っ」
ああ……、責めなくていいのに……。
「大丈夫、大丈夫だよ。」
だから幸せになって…。
「来るんじゃ無かったね……」
「…!」
それを言い終わると、セラは人間に引っ張られた。
あの言葉は……来る前に聞こえた言葉だ。
忠告だったのか、そうだったのか。
「聞いておけば良かったね……。」
セラセードには届かぬ声で少年は小さく呟くのだった。
後悔で全てを埋めて。