ゴースト×ゴースト小説、神の闇

強風だった。
いきなり、何もかも吹き飛ばすような強い風が、炎やなんやらを揺らした。
「どうしたんだ……」
いきなり強風が吹くとしたら…。
まさか、セラが起こしたっていうのか?
そんなのないよね?
でも何があったっていうんだ?
「セラじゃない…信じないぞっ…」
けど、他に理由なんてある?
こんなに唐突に吹く風に。
この嫌な予感に理由なんて。
嘘だよ、このままじゃセラだけ捕まる。
そんなの嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!!
「セラー!!」
もう捕まってやる!
セラに会うんだっ。
まず捕まる捕まらない云々の前に会う事が先だ。
「どけっ!」
邪魔だ、人間も全部!
セラに会わせて、会わせてよ!
「セラっ!!」
見えたっ、会えた、会えた!
会えたけど、こんなの望んでなかった…。

細い体が乱暴に扱われて、傷付いて。
「ゴメン…ファル……」
「セラ……どうして……」
体が震えるよ。
人間なんて…っ

「死んじゃえば……いいじゃん」

手に力が入ってしまう。
捕まるよ、捕まるさ。
だから何っ?

「……殺す……」

少年は泣いた。

紅色の涙がこぼれ落ちた。