ゴースト×ゴースト小説、神の友情

「人……」
「何か用?」
繋がれた手を強く握り締め、不安な心を振り払おうとした。
「町をこんな風にしたの、お前達だろ!」
二人は目を見開き、驚いた。
それはあまりにも唐突だ。
「ちょっと待ってよ!何で僕達なのさ!」
ファルシードは説得させようと必死になり、それと同時に一気に不安が押し寄せた。
「お前達のその紅い目…、不吉の目だ!」
セラセードはその言葉に身震いをし、完全に恐怖心に押しつぶされてしまった。
それを見てファルシードは怒りを覚え、反論する。
「目の色だけで不吉とか変とか、頭おかしいと思うけど!!」
思わず叫んでしまった。
そして気付かぬ内に力を発動してしまったのだ。
「…!…ファル……!?」
セラセードが手を伸ばし、叫んだ。
しかしそれも遅く、深い闇の力がファルシードを包み、怒りと共に力を使った。
「うわぁあっ!」
セラセードが吹き飛ばされたが、人間はその数倍ほどの距離を飛んだ。
血飛沫が紅の色で舞った。
人間はうめき声を上げ、その声でファルシードがハッとした。
「逃げようっ!!」
セラセードの手を取り、二人は必死で走り去った。
もう無我無中で苦しいのかも分からない。
追手が来る、男達の叫び声に二人はどんどんと青ざめ、走った。
「俺達じゃ…ないのに……」
セラセードは少し涙ぐんでそれでも走った。
「もう二人じゃ捕まる!分かれようっ」
不安だったが、ファルシードの言葉にセラセードは頷き、手を離した。
「あの時計塔で会おうっ…約束だよ…。」
セラセードが不安気に、そして力強く、高い高い時計塔を指差し、言い放った。
「じゃあまたね!」
お互いが手を振り、そして分かれた。

小さな闇と風の戦いが始まった。