ゴースト×ゴースト小説、神の話。

「…痛たたた……あーあ暇だな……」
黒い少年が一人で呟く。
小さな体は鎖によって無理に曲げられており、相当痛々しかった。
彼はかつて、ヒトに恨まれた邪神であった。
その空間に足を踏み入れる者はおらず、少年を閉じ込めておく空間において最適だとかつての人間は考えたのだ。
「いつまで僕はここに居ればいいのさ…」
紅く光る瞳、だがその目も開けられない程に苦しんでいた。
「もう飽き飽きなんだよねー……」
少年の名は「ファルシード」
その小さな体からは計り知れない程に強力な力を持っている。
それなのに、彼は鎖をほどけなかった。
何故かと聞かれれば簡単だ。
少年を目も開けられない程に苦しませている鎖はキツく、それであって幾つも絡まっているのだから。
更に体は無理に捻られていた。
最初は彼も、その痛苦しさに叫んで暴れた。
その空間には散々荒らした跡がある。
しかし、もう叫ぶのは止めた。
助けも来ない。
痛くなる、苦しくなる。
だから止めた。もう良い。
この空間で彼が来るのを待つ。

風神の彼が。

「セラセード…。来るのかな……。」

自分はただ待つ分際。
自分の責任なんだから。ここに捕まったことは。
馬鹿な自分の罪なんだから。

優しさという罪なんだから。