ゴースト×ゴースト小説、つくられた自由

私は死んでしまった。
機械の彼が幼い内に。
彼が過去を知らない内に。
でも、彼は過去なんて知らない方が幸せなのかもしれない。
彼は元々普通の人間の少年だった。
私の子供だった。
なのに、彼はある人間によって殺人犯に仕立てられてしまった。
リールは何もわからず人を殺したと言った。
リールはその時から全てに絶望し、何をしても無気力になってしまった。
私はリールに笑顔を取り戻して欲しかった。
…そして、少年を機械へと変えた。

「……28号機、正常起動。」

「帰ってきたよ、父様。」

少年は、リールは笑った。
やけに目立つヘッドフォンを頭に付け、機械の声で喜んだ。

「僕は生まれ変わったんだ、殺人鬼から!」

バチバチと音を立てる電気の唸りも、今は酷く軽快だった。
ただリールの生前の記憶は薄れており、何も覚えていないに等しかった。
それでも少年は嬉しそうにはしゃいだ。

「僕はもう自由なんだ!さあ父様、遊ぼうよ!」

偽物をつくって、少年を「仮」に喜ばせて、何も知らないリールにいいことだけ教えて。

そんな私を、どうか許してくれ、リール。

沢山、本当の愛情を知ってくれ…。