ゴースト×ゴースト小説、目を背けて。

「ごめんなさいアルネス…」
あなたが嫌いな訳じゃないの……。
「いいんだよ、今までありがとう。」
それでもあなたは笑うのね……。
「元気でね……。」
自分にかけられた呪いに苦しむあなたを見ていられないの……。
「うん、母さんこそね。」
そんなに悲しそうに笑わないで……。
私がかかった呪い、それは目の合った相手とお互いの存在を忘れてしまう呪い。
死神は私を孤立させようとした。
それは私だけで良かったのに。
その呪いはアルネスにまで、自分の子供にまで、効果が少し薄くなって遺伝した。
アルネスはぼやけて行く視界に耐えながら生きていた。
私はそれをどうにも見届けられない。
嫌いな訳じゃない、でもとてもつらいから。
今、息子と離れる。
たった一人の子供と……。
「生きてね……頑張って……!」
もう振り返らない、走って、走って。
「バイバイ!!ま、またね…!!」
アルネスの震える声を最後に聞いて。
またね、と。また会いたいとその願いを息子は私に伝えてくれた。
(ありがとう…絶対に忘れないから……)
抱きしめた温もりを、彼の心の暖かさを。