ゴースト×ゴースト小説、さよならの魔法

「早く力をくれよ!!」
その彼は前の優しそうな姿とは違い、恐ろしいほど力に溺れていた。
思わず顔を曇らせてしまったけど、彼の前では真剣な顔でいた。
「力を手に入れるには死ぬしかないわ、それでもあなたはその力が必要?」
「はっ、いいさ。別にそんな運命、とっくの昔に目に見えてた。さぁ早く力をよこせ!!」
どうしてしまったのだろう。彼の心はもう弟を守りたいなんて優しい気持ちじゃない気がした。
「・・・あなたは人ではなくなるのよ?」
どうしてか涙が視界を掠める。
それは自分が人間に力を与えた罪で封印されてしまうからじゃない。
彼をもう人として愛せなくなってしまうのが怖いから。
それでも彼は承諾した。
死ぬ、と言った。
「分かった・・・じゃあ、さよなら。」
最後に彼にかけた呪い。
それは、
「死んだら・・・もう誰にも止められない強大な力を手に入れる・・・」

―さよならの呪い―

彼は死んだ。
笑っていたのも知ってる。
だけどそんなに幸せになれるものじゃないよ?
ごめんなさい、ごめんなさい・・・。

「私はあなたを・・・不幸にした・・・」

涙が頬を伝って、床へ落ちる。

そして私は封印されて、もう二度と人を・・・愛せない。