ゴースト×ゴースト小説、破壊ヨ、トマレ

「この人殺し……っ」
そう吐き捨てる声が聞こえる。
自分は、ただ顔を手で覆ってうずくまる。
言葉を発しても、目を合わせても誰かを殺してしまうなら…
「……っ」
涙なんて出ない。
ただただ絶望、苦痛、孤独感で。
心が押しつぶされてしまっていて。
「…助けて……」
そう呟いただけでも、人が叫ぶのが聞こえた。
いずれ大人達は俺に向かって槍やら魔法やらをぶつけてきて。
それでもいい。
お願い、どうか…今の内に殺して……
痛みのあまり、叫んでしまいそうだが、耐える。
大人しく死んでいくから…

気が遠くなり、目が眩む。
力が収まってきたのだろう。
誰かが俺を抱える。
しかし自分は動けない。
ぐったりとし、はぁはぁ、と息をする。
どこかの施設にでも連れていかれるのか…
そう、思った時。
聞こえて来たのは……
「俺の許可なくフロウに触れるのはどこの人間だ…」
いつものぎこちない言葉とは違う、力強く放たれた、父親、エレスの声だった。
「エレ…ス……」
「ゴメンな、フロウ。」
そう聞こえた瞬間に人を斬り裂く音と、血を浴びる感覚があった。
「勘違いするなよ、いいか。いくら人を殺そうと、傷つけようと、こいつは俺の子供だ!別に腹が立つならいつでも俺達を殺しに来い、俺が罰を受けてやる。」
自分が犠牲になると、エレスは言った。
俺が悪いのに、自分が罰を受けると、言った。
結果、この時エレスを殺しに掛かって来た人間に驚き、俺は気絶してしまったのだが。
エレスは小さくされて、おまけに年を取らない体になってしまったとか。
傷一つ見せずに帰って来たのは、流石エレスとしか言いようが無く、その後も結局なに一つ問題無く、家族仲良く暮らした。

恨まれる俺という存在は、消えぬままなのだが……