ゴースト×ゴースト小説、レインのレイン。

そう・・・それは冬の出来事だった。
雨の降ってる夕方の世界、僕に記憶なんてなかった。
感情なんて、なかった。
命令されて、人々を殺す道具でしかなかった、悲しい僕。
どうか、悲しきレインを殺してください。

「ハハハ・・・キミハ・・・ダレ・・・?」
また殺っちゃった。変わり果てた姿をみた。
「可哀想に、僕のせいでねぇ・・・」
心が痛い、何故?僕はいままで何も分からなかったのに・・・。

そっか、きっとこれが感情。
でも、こんなにも痛いなら、無いほうがよかったかもしれない。

「でもね、全部君のせいなんだよ?分かってよ?ねぇ、ねぇ!!」
ナイフを彼の胸に突き刺して、突き刺して・・・。
でもその彼にはもう痛みは伝わらない、冷たい彼、雨の中の僕。
ナイフを振り下ろすたび、傷ついていくのは僕の心なのにね。
「何故僕は分からない?感情があるのに何故分からない?僕は馬鹿なの?何故ナイフを振り下ろすの!?」
僕が初めて流した涙、心が痛む感覚を知った時。
答える者などない場所で泣き叫ぶ僕。ここはきっと僕の最後。感情もここで壊れてしまうんだ、知ってすぐに、終わり。
「・・・君は分かる?雨・・・僕の心を深く強く打つ雨・・・分かる?・・・この血は何の意味がある?」
頬を流れる涙と雨。そして心から流れ落ちる感情。
「僕には分からないよ、ううん、分からなくなって行くよ・・・」
灰色の空、優しくは無い。でも僕にとって雨は同じ気がした。
「君も何度も心を打つね・・・僕と同じだよ・・・。」
雨という名の僕。そして灰色の空から落ちてくる雫、雨。
僕と同じ、僕は人じゃない。雨も人じゃない。
僕は雨だ、一粒の雨。きっとすぐに死んでしまうよ・・・。



「じゃあまた来世、次はどんな人が僕の心を打つのかな。」
レインは膝をついて倒れた。そして霧がかかってレインは存在を消した。
彼は何度も生き返る。かすかな記憶を残して・・・

雨のように、いつまでも、いつまでも・・・