ゴースト×ゴースト(短編)小説、嘘をつく

こんにちわ!今回も短編…
妄想も甚だしい小説。ソウルがフロウを苛めてるだけ(またか)
妄想120%です!!すみません!!!嫌な人は読まないでね!!
では気になる方どうぞ!



ああ、これは深い絶望の臭いだ。
平気な振りも偽りの笑顔も、君は下手だ。君は嘘が苦手だね、紅に塗り替えられた彼とは違って。

「大丈夫かーい?」
涙でぐしゃぐしゃにした顔で此方を見上げてくる、青。
止めてくれよ、笑いたくなってしまうじゃない。
「相も変わらず、あいつは君を許したと言うワケですか。」
そう言ってやると、そいつは目を伏せた。何も聞きたくないとでも言うように。
全く、笑わせてくれる。

「…こんな記憶要らなかった」
震える声に合わせて小さな声で聞こえ辛くてならなかったが、こういう弱気な言葉は聞き逃せない。
「あーあ、可哀想に。そこまで自分を追い詰めて何がしたいんですかねー、君は。」
「放っといてよ。…あとその変な喋り方止めて。」
「なにイライラしてんの。八つ当たりされてるみたいでウザいんだけど。」
伏せられていたそいつの顔が上がり、泣いているとはいえ、いつもより何倍も鋭かった。

いい顔するじゃん。

「当たり前だろ。お前、死にたいのか。」
この顔を見れば、流石に鈍いこいつでも自分が仕向けたとバレたんだなぁと思う。
「怒ってるー。面白いなぁ、お前は。」
そんな泣き顔で怒るなんて…怒りも悲しみも後悔も、俺の大好きな感情なのに気付いていないんだね。
あっちとは違って感情がコントロール出来ないんだ。
ホント、馬鹿だよなぁ…俺もお前も。
こんな馬鹿に真面目になって真剣に考えた結果が、こんな方法なんて。

「お前、自分が完全な神に近付いていることに気付いているかい?」

こんな嘘をつくだけなんて。

「…な、なに……」
ほら、もう崩れた。楽でいいねぇ。
計画なんて、そう難しいことをするばかりじゃない。
「最近食欲沸いてる?ちゃーんと眠れてますか?体調万全な日、減ったんじゃないですかねー?…ほらちゃんと思い返してよ、前世を思い出してから君の身に何が起こったのか。」
あーあ、そんなに怯えた顔をして…。君はなんでそんなに思い通りになってくれるんだい?
人の言うことを何でも信じて…アホらしいとは思わないのかい?

「お前が前世を知ってしまった時点で人としての一線を越えてしまったんですよー。」
「待って…それじゃ、レディアも……」
「もちろん、神に近付いただろうね。でも、君の方が元々近いから…ねえ?」
なんて楽しいんだろう。
こんなに楽しいことがあっていいのか?
こんなに思い通りになるなんて…こいつはどこまで単純なんだ。
でも手は抜くな。絶対に、油断するな。

「まあ俺、知ってるんだけどね。」
「え…」
「お前やレディアが神にならなくて済む方法。」
そう一言、言ってやるだけで君はあっさり、俺にすがってくれる。
「教えてよ…教えてっ!!」

そんなに必死になるなよ。前世のせいもあるのか…二度と迷惑かけられないもんなぁ。それに、神は大嫌いだもんね。
でも、そんなに優しい俺じゃない。

「なんでさ、私にとっては好都合なのに何でわざわざ…」
「お願い…、お願い…っ!」

そして、君は迷うんだ。
そのなんの価値もない偽りを得る為に君は私に、泣きつくんだ。

「…なんでもするから……」

ああ、これは傑作だ。
元から何にもないのに、君もあいつも神になんてなれるはずないのに。

そんなことの為にこいつは我が身を俺に捧げたんだ。

「…そこまで言われちゃあね。お前の味方だとも言ってしまったし…。」

「だけど一つ約束だ。」

絶対に破ることの許されない約束でなければ意味がないんだ。
こいつを操るにはこいつが絶対に裏切れないようにしなければ意味がない。

「俺とお前のことは絶対にレディアに秘密だぜ?破ったら当然教えないし、お前もレディアも…殺してやる。」

いいな、と笑えば、こいつは怯えて泣いて頷く。我ながら完璧だと思う。
可哀想な奴だ。どこまでもいつまでも何かに振り回されて、それから逃れられないなんて…。

これでこいつはこのソウルの言いなりだ。
さあ、これで幾分か楽になる。
これからどうするかな、レディア?

楽しい遊びが始まるなあ。これからが本番だと、俺は嘘はつかなかった。
これで私の望んだ世界がやってくる。

…まあ、こいつが死を選ばなければの話だが。