ゴースト×ゴースト小説、神として。

−よう、元気にしてたかデヴィーセ。
脳内に直接響く、この生意気な声はあいつしかいない。
「イングリーネか、いつ振りだっけねえ」
後ろを振り返ったって雷神は存在しないから世界を眺めながら言葉だけ返す。
彼は面白くもなさそうに鼻を鳴らすと、
−驚きもしねえ、相変わらずつまんねえ奴だな。
僕にそう捌け口をする。
「そう言われてもなあ、僕のことゴミとかって呼ばないようになったのはまあ成長なんじゃない?」
この浮遊霊のように漂い気まぐれに誰かに取り付く雷神の行動はあまり先が読めない。
だからこそ面白い。
−ゴミって呼んでやろうと思ってたよ、このクズ
そっちこそ相変わらず口が悪いじゃないか。言うと怒るだろうから言わないけど。
「もう…。で、何の用?」
イングリーネは用もなしに会いに来たりしないから安心してそう聞く。
すると溜息をついて話し出した。
−…破壊神が動き出したな。
さっきとは一変。真剣な様子で言葉を紡ぎ始めた。
流石に真面目にならないと怒られるか。
「そうだねえ…。もう動かないものだと思ってたけど流石は神、自由極まりないね。」
僕は破壊神の味方だし、下手なことは言えないな。
彼女に従わなければ僕の守りたいものは守れない。だからゴメンね、イングリーネ。
−お前は放っとくのか?そういうのには首突っ込まないだろ。
ホントよく知ってるよなあ、一回協力しただけなのに。

「まあねえ…、今回は破壊神に賭けてみる気だけど。」
−なっ…、お前、賭けとかする奴だったか?
「時には遊びが必要なんだよ。最近はスリルが無くて面白くないからね。」
適当なキャラ作っといて良かったなあ、とぼけるのに使える。
−…そうかよ、クズ。なんか怪しいな。
あーあ、バレたかなあ。バレてまずいといえばそうじゃないけど。
「いつも怪しいと思ってるくせに、今更言わないでくれる?」
なんだか姿が見えてきた。僕の目の前で腕組して昔と変わらない機嫌の悪そうな顔。
なんだ、なーんにも変わってないじゃない。
−ふんっ!誰もお前のことなんかいつも思ってねえ。勘違いすんなこのゴミ!
別に勘違いしてないけどなあ。どっちかって言うとしてるのはイングリーネの方でしょ。

−…だけど、あんまり惑わされるなよ。ゴミはゴミらしくなに言われたってしぶとく自分のこと考えてな。
ふーん、行くんだ。ホントに何が聞きたいんだか…。
全く鬱陶しいことしか言わないんだから。

−あと、困ったら呼べよ。また助ける。

そういうと彼は消えた。まだ行っていいって言ってないのに。
「…カッコいいとこあるじゃん。死んでも呼んでやらないけど。」

まあちょっとは、自分のこともちゃんと考えるようにしよう。
でも今は破壊神には逆らえないなあ。殺されそう。

僕がちゃんと考えた結果だから、ゴメンねイングリーネ。
あと全ての神様へ、ごめん。