ゴースト×ゴースト小説、時空と選択

「待ちなよカルル。」
炎神は立ち止まる。今はまだ、振り返りたくはない。
「…なに?珍しいやん、あんたがウチに用なんて。」
時空神はなかなか自分から他人に会いに来ない。
いや、そこに存在しないだけなのだが。
「聞きたいことがあるだけ。…君にね。」
その声音は笑っていないようで、いつも陽気な彼がいつになく真剣なことが見受けられた。
だから、彼の顔は見たくはなかった。

「君は義務を果たす?その為なら僕達を捨てる?」
彼は自分の感情を抑えて、冷たくそう言った。
それが、辛かった。

「…決めたの、ウチ。義務とかじゃなくて、人間を守る、愛すんやって…。」
いつか言わないといけないとは、思っていた。
風はどこまでだって冷たかった。だけどウチは炎。燃え続ける存在。
「デヴィーセ、ファルのことずっと見ててやってな。ウチはもう…こっち側には帰ってこないよ。」
人間の中でだって、熱く、燃え続けなければいけない。
でも彼はそれを聞くと虚空を見上げて腕を組む。
「…どうして?君がそこまでする必要なんてどこにもないじゃないか」
ただ、時空神はそうやって、人の心を探るように言う。
心配そうな声は出さないのに。
「気付いちゃったんやもん。人間って綺麗で、ウチらみたいに汚れてない。短い一生を頑張って生きてる。」
酷い人間もいる。でもそれに理由がある人もたくさん居る。
純粋にまっすぐ夢を追いかける人間もいる。理想を愛し、突き進む人間もいる。
…ウチはそれに恋をした。
「邪魔しちゃいかんやん。頑張ってる人を、神様が邪魔しちゃいかんもん!」

炎神は走り去った。やっぱり神は予想外の運命を選びやすいようで。
「まさかこんな運命を選ぶなんて…」
溜息が出る。きっとカルルは綺麗なんだろうな。

「いいよ、僕はいつまでだって次の未来を待ってるし。」
人間世界が壊れるのと、全ての神が人間に魅せられるのは、どちらが早いのか。
…見物だね。

人間が神に勝つ日は、近いのかもしれない…

「なーんてね。」

彼は今日も時空の果て。

−END−

お付き合いいただきありがとうございました!
長くなってしまって申し訳ないです><
次のお話はリウが見た夢の物語です!
シリーズに入る前にいくつか別物を書くかもしれませんが…
新キャラも多少…、でも一見新キャラでもイメージが似たキャラが居るかも?
また長くなるかもですがよろしくお願いします!