ゴースト×ゴースト小説、肖像画メモリー

「お兄さんが罰を受けることになったら嫌だなあ…」
珍しい紫の髪で瞳を隠しながら小さく呟く。
「でも絶対受けることになるからな……」
お互い顔を見せず、距離をとって会話していた。
どんな表情で何を思っているのか、そんなの全く分からないのだ。
どんよりとした空気の中で言葉も交わせなくなって。

リールはなんだか分かっていた。
この時間が長く続かないと。
感じ取って、恐ろしくなって、泣き出しそうな程追い詰めていた。
レイヤも何も喋らない。

(絶対逃げられる…僕は平気……)
呪文のように頭に反響するおかしな言葉。
もう止めてくれと振り払っても無駄で。

(お兄さんはどうして……)

(家族って……そんなに大事なモノなの?)

母さんも居なかった。
僕を産んで死んだ、父さんは母さんの何かを作っていたのかもしれない。
ディスプレイに映った笑顔は綺麗だったけど、どこか寂しくなって見るのも止めてしまって。

あの日、父さんは僕の近くに来てくれなかった。
見つめていたのは、ディスプレイの奥の……僕だった。

(思い出した……!!)

記憶の引き出しから溢れ出した。
そう、レイヤは、レイヤは…………

母さんが最期に描いた……僕の絵だ……。